終わりが始まった。まさに、終わりの始まりである。始まりの終わりを見る事もなく終わりが始まってしまった。安保法案の強行採決は、自民党の終わりの始まりと民主党の豚が言っていたが終わりの終わりを迎えている民主党に言われてもねぇまあ、そんな事はどうでもいい。ここで言う終わりの始まりとは・・・まさに俺なのだ。やる事なす事、全て終わりの始まりなのである。暑い中、車で帰って来たとしよう。部屋は3階だ。エレベーターはない。当然、階段で3階まで上がるワケだがこの暑さだ。非常に疲れる。ハアハア言いながら部屋の前へ・・・ドアを開けようとして、ポケットの中を探る。すると・・・ない。ポケットの中にあるはずの部屋の鍵。それがない。あっ!気付く。車の中にカバンを置いて来てしまった。鍵はその中だ。大体、普段持っているカバンを忘れて部屋の前まで来ること自体、考えモノである。その位、すぐ気付けよ・・・てな感じだ。まぁ仕方ない。暑い中、階段を下りる。1階まで降りる。ハアハアしながら下りる。何とか、駐車場へ戻ってきた。ドアを開け、カバンを取り出すのだが・・・そこにカバンが・・・ない!何でよ!!あり得ないでしょ、これ!カバンはどこだ?あれがないと困る。ヒジョ~に困る。まず、部屋に入れない・・・というか・・・普段は鍵をズボンの右ポケットに入れているのだ。今日に限って何でカバンに入れたのか?・・・・・ん?ちょっと待てよ・・・今日は・・・カバンを持って出たか?家を出る時、かなり雨が降っていたため今日はカバンは置いて行こう・・と、考えたのではなかったか?するとどうなる?カバンは最初から家の中にあるのか?だとしたら、部屋の鍵はどこだ?車の前で呆然とたたずみ、一人思案する俺。考えろ今日の行動をフィードバックしてみるんだ。フィードバックだ、フィードバック。ええと・・・今日は・・・まず・・ええと、ええと・・えと・・えと・・フィードバック・・・・・出来ない。ま、まて、まてまてまて。ぱにくるな、パニクルな。ここでパニくってどうする!とりあえず、部屋に入ろう。部屋の中で考えるんだ。まて、まて、待てい!その部屋の中に入れないのだ。何を考えているんだ、バカモノめ。落ち着け冷静になって考えろ。考えれば分かる。ん?なんか、背中が重いな・・・何だ、このどんよりした背中の重さは?ん?あ!せ、せ、背負っている。リュックサックを・・・背負っている。そう、俺のカバンはリュックサックの事だ。そうだ!そうだった!車を降りるとすぐ、リュックを完全に背負ったんだった。俺は普段、リュックの片紐を自分の肩に引っ掛けていて決して背負う事はないのだ。それが今日は背負ったんだった。そうか、そうか、ヨカッタ、ヨカッタだが・・・それを忘れるか?どこを探しても見つからないメガネが自分のオデコに乗っかってたみたいな間抜けな話ではないか。百歩譲って、背負った事実は忘れたとしよう。しかし、今背中に背負ってる事実。それを忘れる・・というか、それに気づかないのが、すでに異常だろうよ。ま、まあいい。たまにはこういう事もあるさ・・・と、無理やり自分を納得させ暑い中、再び階段を上り始めた。ハアハア、ゼイゼイ。ようやく部屋の前に着いた。何十分かかってんだよ全く!そう毒づきながら、リュックの中から部屋の鍵を取り出す。・・・取り出す。早く取り出せよ。おい。どした?何で泣きそうな顔してんだよ?俺は泣いた。リュックの中に鍵が・・・・ない。これは何かの冗談だ。ないワケはない!どこだ?どこ行った!?おい、鍵!出て来いコノヤロ~~~叫びながら泣いた。いつも入れてるはずの右ポケットには・・・ない。左のポケットには携帯電話を入れてある。これは先ほども確認した。確かに携帯電話が入っている。確認の為、一応携帯を取り出してみた。ジャラジャラジャラ・・・妙な音をさせながら携帯電話が出てきた。あ!!あああああ!!!!!!ベルトと鎖で繋がっている俺の携帯。当然、紛失防止のためだ。先日、携帯を落としてエライ目に遭った。それ以来、俺は携帯をズボンのベルト通しに鎖で繋いでいた。その鎖の反対側・・・つまり携帯とは反対の場所・・・携帯電話がポケットの中なので、当然ベルト通しの側ということになる。ジャラジャラジャラ何だよこの音は?何かいやな予感が・・・・・・俺は自分の左ポケット・・ベルト通しの下を見た。そこに・・・部屋の鍵が・・・ぶら下がっていた。( ゚ ▽ ゚ ;)さ、最初から、ここにぶら下がってたのかよ。泣いた。何をやっていたんだ・・俺は。もう一度泣いた。泣きながら思った。これは間違いなく、終わりの始まりである・・・と。