｢全然だめ！特にGWはまるで儲からず！｣
という屋台の方の呻き声が記事から聴こえてきて､気の毒になってしまいました｡
そのGW期間中｡あるおでん屋さんでは､暇と大書した顔つきで焼きそばをひたすら焼いていました｡ｼﾞｭｰｼﾞｭｰと人を呼び込む筈の威勢のいい音が園内のまばらな人通りの隙間を縫って､お堀の花筏と共にそっと沈んでいきました｡
金魚すくいの屋台のおじさんは､私が見る限り､不動のｽﾏﾎ地蔵と化していました｡たまに｢おっ｣と身を乗り出すのは､ｹﾞｰﾑで良い結果が出たか､意中の人からﾒｰﾙが入ったからかも知れません｡連休中でしたので､株をやっていたわけではないと思います｡
うぐいす笛を売る屋台では､店のお姉さんが必死に売り物の笛をﾋﾖﾋﾖ吹き鳴らしながら客の呼び込みをしていれば､もう一人の店のお姉さんが､
｢もｰっ､うｰるｰさｰい！｣
｢ﾋｬﾝﾋｬﾋｮｳ？(なんだとう？)｣
｢だからぁ､さっきから笛で喋るのやめてくんないかなもうｰっ！｣
｢ﾋｬｯﾋｪ､ﾋｬﾌﾋｮﾋｬｲﾋｬﾋｬ､ﾋﾏﾋｬﾝﾋｬﾋｮ～～ﾝ(だって､客こないから暇なんだもｰん)｣
こんな不思議な会話が理解できるほどに通いつめた､今年の弘前公園内｡最終日前日夜､護国神社近くの無料演芸場に行ってみれば､なんともﾏｲﾅｰﾑｰﾄﾞ満載ｷﾞﾀｰと歌のみによるJ-POPの知らない曲のｵﾝﾊﾟﾚｰﾄﾞ｡
｢なぁんだ､民謡や演歌はもうやらないの？｣
最前列真ん中の席に陣取って見ていた常連母が口をとがらせたのをまさか察知したわけではないと思いたい舞台の女性ｱｰﾁｽﾄまさにｸﾞｯﾄﾞﾀｲﾐﾝｸﾞで､
｢それでは､ﾑｰﾄﾞを変えてみなさんもご存知の歌を！さぁご一緒にっ､
ﾄｯﾄﾛｰ､ﾄ､ﾄﾛ～～､
ﾄｯﾄﾛｰ､ﾄ､ﾄ､ﾛ～～｣｡｡｡
いまだにその健気な歌声を引きずったまま､私は桜から株の森に舞い戻り､愚痴満載売りの屋台で､ｶﾞﾗｹｰ地蔵と化しています｡
