李嘉誠の「脱香入欧」(香港を捨てて欧州へ投資)が本格化
今度は英国通信大手「02」社買収へ動く
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香港最大財閥(世界富豪ランキングでも14位)の李嘉誠は旗艦の長江実業と和記を統合し、本社をケイマンへ移籍することは既報の通りだが、とりわけ英国ロンドンへの投資が勢いを増し、中核の不動産開発ビジネスから、つぎは移動通信事業への本格進出を果たそうとしている。
150億米ドル(邦貨換算1兆8000億円)を投下して、通信王手の「02」に買収をかけた。
「02」社は英国最大の通信網を誇り、2006年にスペイン企業が買収した。その後、現金フローが悪く、有利子負債がかさんで経営状態が思わしくなくなり、身売り話が持ち上がっていた。現在ロンドンの当該管轄機構(日本で言う公正取引委員会)が審査を開始し、この買収が適当かどうかの判断を下す。
李嘉誠グループはすでに英国で「英国電力網洛」(英国で30%の電力供給)、「THREE電信」(顧客800万台)、「ノースアンブライン」(下水処理企業)などを買収しており、今回の「02」は移動通信企業として2400万台を抱える大手だ。
このように李嘉誠は、江沢民と親しかった政治的条件を利用して香港ばかりか、中国大陸で幅広くビジネスを展開してきたが、新しい梁震英・香港行政長官と折り合いが悪く、同時に江沢民の影響力低下にともなって大陸でのビジネスに見切りをつけた。
大陸内に保有してきた物件をほぼ売りはらい、もてあますキャッシュをカナダと英国の企業買収ならびにロンドンでの不動産開発プロジェクトに投資してきた。