リターンリバーサルは相場正常化へのサイン

yuhsanさん
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最近、昨年まで値動きがなかった銘柄が上昇しています。銀行株の代表である三井住友銀行は、アベノミクス相場開始以来、昨年末までの上昇率が30%台で、2倍、3倍となる銘柄が続出する中で、出遅れが目立っていました。三菱商事をはじめとする商社株も似たような動きをしています。


買われなかったのも、買われるようになったのも、それなりの理由はあるのでしょうが、世間では、この動きをリターンリバーサルといっているようです。買うものがなくなったとか、循環買いの一環とか、一時的なものとして捉えている向きがあるようですが、相場正常化の一歩と捕えることもできます。


「株価は、短期では需給で、長期にはファンダで決まる」と考えると、今までファンダメンタルに問題なかったこれらの株が、PER、配当利回り、PBRといった本来の株価指標を評価して、買い直されたといえます。「成長より現実」重視の相場に移ったようにも見えます。


昨年までのアベノミクス相場では、相場のけん引役は外国人で、彼らの投資行動は、指数銘柄と値動きの軽い成長期待銘柄に集中していました。それが昨年の中ごろから、国内法人が買いを牽引するようになってきました。


その結果、変われる銘柄に変化が現れるようになってきたのです。本来こうした動きは、株式市場では当然の動きといえるのですが、なぜか一部の銘柄だけに値動きが集中する嫌いがありました。株価は、同じような業種や業態では、一つの銘柄が買われると、その銘柄の株価指標が、同じような銘柄に波及して株価を引きあがる裁定が働くのですが、ようやく市場の機能を取り戻し、正常化に向かったともいえます。


背景には、景気回復が広がりを見せてきて、企業の発表する業績の見通しに信頼を置けるようになったことがあります。買いの主体が、国内法人のため、彼らの銘柄選択が、個別企業のファンダに重点をおくようになったためです。


今年に入って、個人は相変わらず売り続けているようです。景気の実感が、伝わっていないのが原因のようですが、株価は景気ではなく、企業業績で動くものです。日本の企業業績は、円安で大いに潤っていますが、これからは設備投資や、賃上げの新党による消費の回復で、業績向上の波が企業全体の業績を引き上げます。


今まで動きのよかった一部の銘柄と、新興市場銘柄は、個人投資家の動きが止まっているため、動きが取れなくなっています。動きが鈍かったために、個人投資家には人気のなかった銘柄が、ファンダメンタルに注目した企業法人と、外国の長期資金で活況を呈してきているのです。


業績相場の始まりと見ている人もいるようですが、金余りとはいえ全体を持ち上げるのにはまだ資金不足です。これも天井期の株価の動きといえないこともありませんが、「手変わり」現象を、一過性と捉えないで相場の転換点として「波が変わった」と捉えるべきといえます。


いずれは個人投資家にも、景気回復が実感されるようになると、インフレで目減りするタンス預金では不安になり、値上がりした株を買わざるをえなくなるでしょう。



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