はるるっぴさんのブログ
通貨の信用力喪失に危機感を持つ
ビル・グロス氏に代わって、新債券王としてその発言が注目されている
ダブルライン・キャプタルのジェフリー・ガンドラック氏は、ファンダメンタルズが
利上げを正当化せずともアメリカFRBは利上げすると予想している。
そして、長期金利の上昇より低下を見込んでおり、イールドカーブのフラットニングを
予想している。その論理も理解できる。
また、利上げは長続きしないと予想されている。イエレン議長は、利上げしても、
再び利下げするだろうと予想している。
以前、この日記で書いたことと同じようなことも予想されている。
原油安について
「ガンドラック氏は1月13日のウェブ放送で、原油安が2014年終盤の成長を後押ししたものの、この値下がりには「不吉な」側面もあり、米経済に波紋を広げ年央までに見通しの下方修正を招くだろうと予想。株式相場の上昇が続かず、10年物米国債利回りは一段と低下してから再び上昇する可能性があると語った。」
(ブルームバークより引用)
ポジショントークもあるかもしれないが
新債券王ガンドラック氏の発言には今後も注目したい。
日本人にとっては、以前ガンドラック氏が
日本国債について言ったことを思い出したい。
ターゲットは日本!
「流動性バブル圧力鍋が沸騰中」
圧力はどんどんと高くなり、爆発するときに鍋の蓋は空高く吹き飛ばされる。(>_<)
果たして、ガンドラック氏の予想は当たるのだろうか。
・・・
素人のひとりごと日記です。
(すべて正しくは信頼できる専門家へ)
以前、テレビで
「通貨とは何か」
「それは信用です」
と説明していたとテレビを見ている人から聞いた。
(個人的には、あまりテレビを見ない。毎年、紅白歌合戦は必ず見るようにしている。)
日記にも書いたように、以前日銀の方と飲みに行ったときに、通貨とは何か聞いてみると
「信用力です!」
と答えた。
他にも日銀券ルールについてくわしく話をしてくれた。
参考:銀行券ルール
日銀が引き受ける長期国債の総額を日本銀行券の流通残高以下に収めるという政策目標。国債の引き受け額に上限を設定することで、国の債務である国債を無制限に肩代わりすることなく、本来の金融調整機能を発揮することができる
このルールは意味のある非常に重要なルール。
日銀券ルールが守られていないことだけとっても
明らかに異常な金融政策に入っていることがわかる。
・・・
何回か日記で書いた、ビジネスマガジンも評価されている
吉田繁治氏の新年(1月14日)のリポートを引用しながら
通貨の信用力喪失について正しい危機感を持ちたい。
(この有料メールマガジンは、月額630円。おすすめです。)
現在の異常な金融政策を理解するために参考になるかもしれない。
ポイントになると思われるところを赤字にしました。
『日本の債券市場は、国債市場です。売る側の財務省のにらみが効いていて、そのために、
「正常な金利というシグナル」を出しません。
本来、政府の赤字が大きくなり続け、国債発行が増え続ければ、債券市場で金利が上がって
政府の利払いが増えますから、政府には赤字の抑制(国債発行額の減額)が働きます。
ところが、財務省の暗黙の支配が強い日本の債券市場では、政府の赤字を抑制する金利上昇という
シグナルがないのです。あたかも、痛みのない身体です。
1年物0.017%、5年物0.022%、10年物0.326%という超低金利の国債の裏には、財務省が主導
する金融抑圧があります。これを指摘する学者、マスコミがいませんが、事実です。』
・・・
豊島逸夫先生も、世にも恐ろしい金利水準と言われていましたが、
財務省の圧力があるのは、事実でしょう。
・・・
『世界の金融ロビーは、数年前から予定されていた、新たなBIS規制に反対していました。このためBISも、世界の国際価格下落(=金利上昇)の衝撃にもなるBIS規制を、2015年は延期しています。
新BIS規制が敷かれると、GDPの2倍以上ある日本国債は、とても危なかったのです。
間一髪、といったところでしょう。ただし、このことは、金融機関のトップにしか知られていません。』
・・・
BIS規制は重要なので、その動向はチェックする必要がある。
・・・
『(日銀の異次元緩和は)、どう見てもあからさまに「80兆円の財政ファンナンス、言い換えればマネタイゼーション(国債の現金化)」でしょう。
新規に発行された赤字国債を、もう、金融機関は買っていないからです。逆に1年に23兆円を売っています。特に、都銀グループ三行がもつ国債は大きく減っているのです。
(略)
日銀が、国債買いを仮に60兆円に減らせばどうなるか。国債の買いを23兆円売り越している金融機関が、超低金利の国債買いに振り向けなければならない。
おそらくこれはうまく行かない。このため日銀は、行き着くまで異次元緩和という国債の現金化、つまりマネタイゼーションを続けざるを得ないでしょう。』
・・・
財政ファイナンスは、財政法5条で禁止されている。
財政法第五条
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
(これを「国債の市中消化の原則」と言う)
これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。
そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためです。
(日本銀行ホームページより引用)
日本銀行自身も財政ファンナンスをすると
悪性インフレになることをしっかりと解説している。
・・・
『財務省は、国債残高の1080兆円を、国民1人当たり635万円、世帯当たりでは2000万円の借金と言い続け、未来の世代からの借金と言っていました。この例えで、国民が国債という借金をしているかのような錯覚を与えてきたのです。御用エコノミストや学者も、財務省と同じことを言っています。
(略)
国債は、国の一部である政府(政府機関)の借金です。世帯の借金ではない。企業の借金でもない。世帯と企業は、その預金で国債を持つ、債権者です。
財政破綻は、国家機関(政府)の家計簿の破産です。世帯の破産でもなく企業の破産でもない。以上を、明確に、言っておきます。
財務官僚は、確かに、トップクラスに頭がいい。政府の借金を、あたかも国民の借金であるかのように、「言いくるめて」来たのです。国民は、財務省にごまかされてはいけません。』
・・・
仮に資産をほとんどすべて不動産や貴金属で保有している人がいれば、
そもそも国債は国民の借金ではないので、国債価格が暴落しても関係ないことになる。
しかし、国には徴税権がある。何らかの形で課税強化されるので、やはり関係する。
(日本国憲法30条は、納税の義務を規定している。)
・・・
『金利で言うと、ほぼ3%以上が、財政破産へ一直線になる水準です。期待金利が3%に上がると、現在の国債価格が、20%くらいは下がるからです。
1000兆円の国債が800兆円に下がり、国債を保有する金融機関は200兆円もの損を抱えることになります。こうなると、金融機関は、リスク証券となった国債を更に売りに出しますから、国債の金利は、相当なところ(7%)くらいに上がるかもしれません。
金利が7%になると。国債価格は61%に下がり、400兆円以上の保有損が出ます。政府は、その時点で国債が発行できなくなるでしょう。発行すれば、国債が売れず、さらに金利が上がるようになって行くからです。
(略)
債務超過とは倒産状態です。中央銀行が債務超過という、誰も想定したことのないような状況です。こうなると円の通貨信用が失われたとして、今度は本当の円安が来ます。円の50%近い暴落になるでしょう。』
・・・
学者やエコノミストなどが、いろいろ理屈を言って日本国債は大丈夫と説明している。
これまで大丈夫だったから、これからも大丈夫~
立派な肩書を持った学者や専門家の言うことを信用する人々の中には
疑いもなく立派なリスク資産である個人向け国債を安全資産と思って
買っている人もいる。
金融機関の投資信託を販売する人でも
「なんといっても国債が一番の安全資産ですから~」
と言っている人もいた。
以前、豊島先生と日経新聞などにもよく登場する著名FPのディスカッションを
聞きにいったことがある。
著名FPの方は、将来の年金設計など、数字を一杯だして
立派な説明を理路整然とされていた。
しかし、豊島先生は相手にしていなかった。
著名FPの方は、そもそも日本国債がこれからも
安全資産だとする前提で話をしている。
前提条件が崩れれば、その話には何の意味もない。
そのようなことを豊島先生はおっしゃった。
著名FPの方は、ブスッとしていた。
プレインバニラ金融のことしか理解できない
著名な専門家を相手にしても仕方がない。
・・・
(行き着けば、落語の、花見酒経済)
『二人の男が、向島の花見客に、酒を売ってひと儲けしようと、酒樽を運ぶ。
その途中、片方の者が所持金を相棒に払って、酒を一杯やる。カネを渡された相棒は、今度はそのカネを相手に払ってもう一杯、すると片方の者がまたそのカネを払ってもう一杯。
・・・それを繰り返して向島についた頃には酒樽の酒がなくなっていた。
すっかり酔っ払い、お互いが儲けと思っていた売上は所持金だけだったという落語です。
相手へ酒の売上であるお金は、どこに行ったのでしょうか?酒だけがなくなったのです。
お金は増えていません。
日銀と政府が、花見酒経済をやるようになるのが、量的緩和の行き着くところです。国民にとっての結果は、円の価値の暴落です。
そして、政府と日銀が同時破産します。破産とは何か?政府と日銀が払うべきものが払えなくなるということです。したがって、政府からもらっている人々は、大変な状況になるのです。
(注)日銀は、国民と海外からの信用がある間は、通貨の発行ができます。しかし、その信用がなくなると、通貨増発をすれば、その通貨の価値が下がって、増発の効果がなくなるのです。
(略)
ここまで行ってはならない。
このためには、2015年の年末くらいから、インフレ率目標2%を間違っていたと取り下げ、金利が1.5%程度に上がるのは、我慢して、量的緩和を順次、縮小せねばならない。
これができないと、いずれ「花見酒経済」です・・・』
・・・
このたとえ話はわかりやすいかもしれない。
これも以前日記で書いた。
政府の税金に助けてもらっている人はこれから大変になる。
逆に、政府を頼っていない人の方が有利になるかもしれません。
また、随分前の日記に
「いずれ日銀は、お札を印刷するしかなくなるだろう」
と書いた。
金融危機の本質を理解すれば、このことを予見することは
さほど難しいことではなかった。
(あすの株価を予想することは難しい)
少しずつ現実になっている。
通貨とは信用力なので、信用がなくなれば、ただの紙切れになる。
古銭ショップにいけば、紙切れになった昔の日本銀行券を見ることができる。
先日、古銭ショップに行ったとき、ご年配の女性の方が、戦前の日本銀行券をたくさん持ってきて
買ってもらえないか相談にこられていた。
しかし、古銭ショップの店長さんから丁重に断られていた。
「昔は、価値があったのですけどねぇ~。今となっては・・・」(-_-;)
紙幣はたくさん印刷すると、信用がなくなり、価値が薄まる。
当たり前のことを理解したい。
ペーパーマネーが危なくなると大変なことが起きる。
危機が表面化する前にバブルになる可能性もある。(すでに債券バブルになっている。)
安易な楽観論はこれからも何度も出てくると思いますが
本質的な問題は解決していない。
また、今回の危機は1990年代の日本の不動産バブルのときと違い
世界同時多発的に発生している。
世界恐慌になっても不思議ではない。
豊島先生は、おかずが一品減るくらいのインフレになると
ブログや講演でお話をされていたと思いますが、数か月前の講演会後の個別質問のときに
ある質問者の答えに「おかずが三品くらい減る」とおっしゃっていた。
おかずが三品くらい減るのは、たとえ話として
そのくらい厳しいインフレに将来なると予想されていると思った。
時代の転換点に来ているかもしれない。
長期投資家は、目先の株価の乱高下に一喜一憂することなく
大局観を持って投資と向き合ってもよいかもしれない。
通貨の信用力喪失に対して危機感を持ち
万が一の通貨危機に備えたい。
予想できることは起きる
なぜならば、予想もできないことが起きるから