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ヒロろんさん

「歴史」固執する朴槿恵政権の陰で頭抱えるソウル市長 “反日”と“国難”で軋む韓国

日韓国交正常化50周年の今年は、韓国にとって日本の朝鮮半島統治からの解放・独立から70年周年にもあたる。日韓関係が冷え込む中、韓国 では国交正常化の節目の年に合わせ、一部で日本へのアプローチの動きがある。

しかし、対日姿勢や政策では、国交50年よりも、慰安婦問題など歴史認識を前面に出した解放・独立70年が優先されている。韓国の朴槿恵政権が現在、危機意識を持ち最重要課題にあげているのは、経済の立て 直しだが、国交50年よりも重きを置く“反日の論理”が、その足かせにもなりかねない状況にある。(ソウル 名村隆寛)

前提条件!前提条件!

朴大統領は年頭の記者会見(1月12日)で、国交正常化50年の今年、日本との「新しい関係」を模索する姿勢を示した。ただ、依然、実現しない安倍晋三首相との首脳会談については、国交50年を象徴するにも拘わらず、「日本側の姿勢の変化が重要だ」と強調。

日本が対応すべき課題に慰安婦 問題を挙げ、早く解決しなければ「韓日関係だけでなく、日本の歴史にも 重荷になる」と訴えた。また、慰安婦問題の解決策は、「韓国国民が納得 するものでなければならない」と明言した。

その1週間後の19日、尹炳世(セユンビョンセ)外相も記者会 見で、「日本側の動向には関係改善への十分なものはうかがえない。首脳会談実現に向けうまく条件を作らねばならない」と指摘し日本側の努力が、首脳会談の前提であるとの考えを示した。

菅義偉官房長官は朴大統領の“条件発言”の直後に、「首脳会談に前提条件を付けるべきではない」と不快感を示していたが、尹外相はこれに対抗するかたちで朴大統領の主張を踏襲した。「日本は慰安婦問題を韓日関係の側面でのみ見ているが、国際社会はそれ以上に見ている。日本側でより深く考える必要がある」とも語った。

韓国が納得する上で

朴大統領も尹外相も、会見ではまず、日韓国交50周年の重要性を挙げ、「日本側の努力」や「関係改善の条件」については、記者からの質問に答えたものだ。自ら進んで言及することは避けたかたちだが、日韓関係についての韓国側の論理が明確に表れている。

「あくまでも、歴史認識問題を韓国が納得できるように解決してこそ、日韓国交50周年の意義深さが成り立つ。国交50年にふさわしい首脳会談も、その上で実現されるべし」との考えに基づいている。

韓国では昨年8月15日の光復節(日本の統治からの解放記念日)に、 朴大統領が演説で日韓関係の改善に言及して以来、強硬な対日姿勢が対談へと転換したかのような動きが見られる。

今年には、朴大統領の年頭記者 会見の直後に、韓日議連の徐清源会長ら韓国国会議員団が訪日し、議員外 交を展開。15日には、安倍晋三首相と会談した。

安倍首相は、「河野談話」を否定しなかったものの、慰安婦問題の政治問題化には慎重な姿勢を示した。しかし、韓国議員団は慰安婦問題の解決に向けた日本政府の努力を要請。ここでも、慰安婦問題に関する韓国側の立場は、朴大統領同様、全く変わっておらず、一歩も譲っていない。

慰安婦問題で日本の譲歩を求め続ける執拗(しつよう)な韓国の姿勢に、日本にいる知人から「韓国が抱える一番の問題は慰安婦問題なのか」と聞かれたが、実際は違う。朴槿恵政権の韓国は現在、もっと切実な問題に直面しており、大統領自身が、公式の場で何度も言明している。

韓国版“失われた20年”への懸念

今年の新年の辞と年頭の記者会見で、朴大統領が真っ先に口にし、訴えたのは「経済の回復と安定」だ。会見時間の半分を「経済」に割き、韓国メディアによれば、「経済」という言葉を51回も口にした。

テレビの生中継で見ていて、「やはり。予想通りだった」と思った。だが、よく考えてみると(考えなくとも)、昨年も聞いたような言葉だ。それも何度も耳にした朴大統領の似たような言葉の繰り返しだった。

それよりも、韓国政府が懸念しているのは、昨年以降、一段と進む通貨ウォンの高騰だ。周知のように円安傾向の中、対円でウォン高は続いている。輸出産業への依存度が高い韓国経済にとって、大きなマイナス要因である。

一方で、ウォン高の“恩恵”で、韓国から海外旅行に出かける者の数は増加している。日本を例にとっても、昨年1年間に訪日した韓国人は前年より12%増え、約275万5300人(日本政府観光局)。過去最高となった。

一方で、韓国を訪問した日本人は約229万7000人。日韓での「訪日」が「訪韓」を2008年以降初めて上回り、6年ぶりに逆転した。

人口比(日本・約1億2800万人、韓国・約4900万人)を考えれば、相当な数(延べ人数も含め)になる。

この傾向は今年になっても続いているようだ。韓国からのお客さんが増え、モノを買い、じゃんじゃん金を使ってくれることは、日本としてはありがたい。一方の韓国政府としては、頭の痛いところだろう。このままで行くと、韓国は観光収支だけをとっても対日赤字が続くことは避けられそうもない。

しかし、韓国政府の懸念もよそに、国民は海外で金を使い続けている。

理想と現実の間で

韓国経済について、詳しくはその動向をうかがい、別の機会に書いてみたい。とにかく昨年末以降、朴大統領は、「2015年は経済再生への最後のチャンスとなる年だ」と繰り返し言っている。

また、「私は大統領就任以来、国の経済安定について考えなかった日はない」とも語っている。「口を酸っぱくして」との表現がぴったりで、か声だけは、より強まっている。

ただ、「最後のチャンス」であるはずの今年は、もう1カ月が過ぎようとしている。1年の12分の1は終わった。その間にも、韓国経済についてのいい話は、ほとんど耳にしない。朴大統領の支持率は、ついに政権発足後最低の30%にまで落ちた。

お上が「日韓首脳会談への条件うんぬん」を言っている間も、韓国では経済悪化への国民の不満や不安はくすぶり続けている。一般国民の生活レベルでは、反日どころではないのだ。むしろ、朴元淳市長の言葉にうかがえるように、日本との関係を改善して、できれば経済活性化に結びつけてほしい、といったところが本音であろう。

10年ごとの節目に

今年は、日韓国交正常化50周年と日本からの解放・独立から70年周年の節目の年であるが、この節目の年は10年ごとに繰り返しやってくる。10年後の2025年には60周年と80周年という具合に。

今年がまだ11カ月も残っているというのに、10年後のことを語るのも何だが、慰安婦問題に限らず、韓国が「反日」「日本との歴史」から離れない限り、10年後も、また20年後、30年後も節目の年に、似たようなことが繰り返されているような気がする。

産経ニュース【ソウルから 倭人の眼】2015.1.29
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