G8 番外編 米国がドル安是正 2008年06月15日
米国がドル安是正に動く中、G8では、為替に関する議論も注目を集めた。特にドル安是正を目指す米国に対し、欧州は利上げを模索し始めるなどG8内でもインフレ抑制策の足並みの乱れが指摘され、どこまで各国がドル安是正に歩み寄るかがポイントに浮上した。
会合では、ポールソン米財務長官が米国経済の先行きに自信を示し、強いドルの正当性を訴えたが、これに対する各国の反応は限定的。もともと中央銀行総裁が出席しないG8で、為替や金融政策は「議論の直接の対象にはらない」(額賀福志郎財務相)こともあり「為替の問題について特に議論があったわけではない」という。
ただ、会合終了後にフランスのラガルド経済財務雇用相が「ポールソン米財務長官が、強いドルはインフレへの対応に不可欠との認識を明確にしたことは、非常に喜ばしい」と米国のドル高政策に理解を示した。声明への言及こそなかったものの、欧州内にはドル相場安定で米国に歩み寄る動きがあることをうかがわせた。
<ドルは110円へ上昇の可能性も>
G8声明について外為市場では「現在の市場のセンチメント、ドル買い戻しの流れに沿ったもの」(バークレイズ銀行・チーフFXストラテジストの梅本徹氏)として、米当局のドル安けん制をきっかけとする最近のドルじり高地合いに、影響を与えるものではないとの指摘が多く上がっている。
事前の市場では、利上げを模索する欧州中央銀行(ECB)など「ユーロ圏がどこまで米国の主張を受け入れるかによって、ドル上昇の勢いは変わる」(外銀の外為チーフディーラー)と、欧州各国の出方に関心が集まっていた。
だが、会見で為替に直接言及したのは仏財務相らごく一部。G8がドル安と密接な関係を持つ原油高騰の背景を「わからなかったと言っているに等しい」(JPモルガンチェース銀行・チーフFXストラテジストの佐々木融氏)と有効策を打ち出せなかったと、市場関係者の多くは判断している。世界的なインフレ懸念が継続する見通しの下では「ドル安阻止の雰囲気だけが共有された。(ドル高の結果として)自国通貨安を望むかどうかまでは、各国とも踏み込んで受け止めることができない」(みずほコーポレート銀行・国際為替部シニアマーケットエコノミストの福井真樹氏)という各国の苦しい姿が浮かび上がったといえる。
ただ、そうした各国の思惑のずれが、直ちにドル高基調のマーケットに大きな変動をもたらすという構図にはなっていないようだ。JPモルガン銀の佐々木氏は「ドル安是正で合意するなどといった可能性を見込み、事前にドルを買い込んだ向きにとっては失望の内容」としながらも、「失望売りが一巡した後は再び、市場の注目は米金利に集まる。米金利が上昇を続ける中、しばらくドルはじり高展開が続くと見る」と予想。
バークレイズ銀行の梅本氏も、ドル/円は110円以上にドル高が進む可能性が高まってきたと話している。(ロイター)
最後の一言が今回の収穫でしょう。まとめられない額賀さんが悪い。ドル安是正に番外で合意している。