世界最大規模の機関投資家で、国民年金・厚生年金の積立金約130兆円を管理・運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の今年6月末時点の運用資産額および資産構成割合は以下のとおりです。
運用資産額
6月末の構成割合 ※基本
国内債券 67兆9102億円
53.36% 60%
国内株式 21兆9709億円
17.26% 12%
外国債券 14兆0726億円
11.06% 11%
外国株式 20兆3353億円
15.98% 12%
短期資産2兆9737億円
2.34% 5%
(合計127兆7267億円
100.0%)
※印は基本ポートフォリオで定める資産構成割合
GPIFが国債投資に偏重した基本ポートフォリオの見直しで株式の割合を引き上げるのは既定路線であり、市場では幾度となく話題にされてきました。
GPIFは、運用比率の見直し(株式構成比率の引き上げ)が政策として浮上する以前から株式の割合を増やしてきており、実際に13年3月末の運用資産に占める国内株式の割合は14.57%でしたが今年3月末時点では16.47%、そして6月末時点では17.26%へと増えています。
GPIFの運用見直しについて、昨日までは国内株式の比率を「20%」に引き上げると予想されていましたが、本日報道された数字は「25%」というものでした。
尚、報道で25%への引き上げを「およそ2倍」と表現しているは、実際の運用比率との比較ではなく、基本ポートフォリオと比較してのことです。
単純計算ですが、17.26%から20%への引き上げで、国内株式に約3兆6000億円の買い需要が発生すると見込まれていたものが、25%に引き上げるとなりますと市場の見込みの倍以上で新たに10兆円近い買い需要が発生することになり、市場にとっては大きなインパクトです。GPIFが動けば横並び意識が強い企業年金なども追随する公算大です。
ちなみに、GPIFは企業の資本効率を示すROE(自己資本利益率)重視の投資姿勢を鮮明にしており、ROEを重視して構成銘柄を選定している「JPX日経400」の構成銘柄がそのまま世界最大の機関投資家の保有候補となります。日銀が本日の決定会合で、新たな買い入れ対象にJPX日経400に連動するETFを加えたことも相場の追い風となっています。
ただ、公的な存在であるGPIFは、自身の売買で市場をかく乱することを極力避けようとし、正式な発表を待たずに動く傾向があるため、国内株式の割合はすでに20%前後に上昇している可能性もあります。また、運用比率は目安であって、実際には上下に数%の幅で許容されていることから、さらなる保有比率引き上げに向けてすぐに動く必然性はありません。