大阪ガスが、丸紅と共同で首都圏での販売を視野に石炭火力発電所の新設を検討していることが三日、分かった。茨城県の鹿島地区が候補地。十万キロワット級と比較的小規模にすることで建設を早め、二〇一七年にも発電を開始する方向だ。
大ガスは現在、愛知県以西に約二十カ所、出力計百八十万キロワットの発電所を保有しているが、関西が中心で、首都圏に設置するのは初めて。新設する発電所でつくった電力は関係会社を通じ首都圏で販売する考えだ。
一六年の電力小売り全面自由化を視野に入れ、電力会社やガス会社が従来の供給区域を越えて電力を販売する動きが活発になってきた。関西電力や中部電力といった電力大手も首都圏での事業拡大に意欲的だ。東京ガスや西部ガスも今後、電力事業への進出を加速するとみられる。
大ガスは発電所などの建設費負担に加え、厳しい競争下でも電力販売で利益を上げられるかどうかを慎重に検討し、最終判断するとみられる。
大ガスは人口減少を背景に、供給域内である関西での都市ガス販売が頭打ちとなる一方、電力事業は好調で、一四年四~六月期連結決算で営業利益は前年同期比約47%増の九十四億円となった。同社は今後も電力事業への投資を進め、二〇年代までに国内外で計六百万キロワットにまで発電能力を高める計画だ。