いつの間にか朝晩の風や蛇口から出る水道水が気持ち良い程度にひんやり感じるようになり、いっそう秋めいてきました。
ところで、日経平均株価は過去最高値(3万8915円)から見てまだ半値以下の水準で推移していますが、NY市場のダウ工業株30種平均やS&P500種指数は今が過去最高値圏にあります。
NY株の強さの裏には好調な米経済があり、景気・経済が良ければ企業収益も拡大するはずで、企業収益の拡大期待で株価も上昇するという構図です。
その米経済の好調さはいつまで続くのか、、、米金融大手のモルガン・スタンレーでは米景気の拡大があと5年以上続き、戦後の景気拡大局面の過去最長記録を更新すると分析しています。
景気拡大に伴って企業収益も増加し、S&P500種指数は2020年までに3000に乗せるだろうというのがモルガン・スタンレーの予想です。
昨日のS&P500種指数の終値が2002ですので、あと5年程度は好調が続き現在比で5割程度は上昇する展開がありえるとの見立てです。
過去最高値と聞きますとつい慎重になりがちですが、もちろん過去最高値は過去からみた最高値であって未来の最高値ではなく、現時点の過去最高値は途中過程に過ぎないということです。
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【1】今日の相場 **
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◎日経平均 15728.35(+ 59.75)△0.38%
◎TOPIX 1301.52(+ 4.52)△0.35%
◎売買高概算 24億8802万株
◎売買代金概算 2兆0688億円
◎時価総額 463兆9316億円
◎値上り銘柄数 918 ◎(年初来)新高値 158
◎値下り銘柄数 753 ◎(年初来)新安値 8
◎変わらず 149
◎騰落レシオ(25日)105.22%
◎カイリ率(日経平均)25日線比+2.12% 75日線比+3.33%
◎為替 (対ドル) 104.97 (対ユーロ)137.91
◎出来高上位
1.みずほ <8411> 203.5円(+ 1.5円)165,017千株
2.熊谷組 <1861> 413円(+ 17円) 85,689千株
3.三住建 <1821> 137円(- 1円) 68,128千株
4.ユニチカ <3103> 47円(± 0円) 65,242千株
5.新日鉄住金<5401> 294.9円(- 4.8円) 52,228千株
◎売買代金上位 (円)
1.日経レバE<1570> 10750円(+ 70円) 51,969百万
2.ソフトBK<9984> 7537円(- 4円) 47,364百万
3.トヨタ <7203> 6077円(+ 17円) 39,374百万
4.熊谷組 <1861> 413円(+ 17円) 34,798百万
5.みずほ <8411> 203.5円(+ 1.5円) 33,579百万
◆相場概況
外国証券の寄付前の注文状況・・・売り1090万株 買い1510万株
本日の東京マーケットは日経平均株価が3日連続高、前日比59円(0.38%)高の1万5728円で取引終了、12:38には1万5829円まで上昇して7月31日に付けたザラ場ベースの高値1万5759円を上回る場面がありました。
昨晩のNYダウは30ドル安でしたが、円相場が1ドル=105.20円前後の円安に振れたことを好感して朝方から幅広い銘柄に買いが先行。ただ、昼からは円安進行が一服したこと、加えて内閣改造が発表されたことで目先の材料出尽くし感が意識され、引けにかけては上げ幅をやや縮めています。明日の欧州中央銀行(ECB)理事会、日銀金融政策決定会合の結果発表、さらに5日発表の8月の米雇用統計に市場の注目が集まっています。JPX日経インデックス400は42ポイント高の1万1806とほぼ8ヶ月ぶりに年初来高値を更新しています。売買代金は概算2兆688億円、上海総合指数は22ポイント(1.0%)高の2288と連日で大きく上げています。
業種別では、海運、銀行、証券、電機、自動車、空運、機械などの上げが目立ちます。
個別銘柄では、古河電池が4日連続でストップ高、300円高の1390円となっています。紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」を12月中旬に発売すると発表。災害など非常時に水や海水を入れるだけで発電でき、発電時間は最大5日間。スマートフォンなどUSB機器の充電にも使え、主に地方自治体向けに販売する計画です。これを材料に勢い付、これで8月28日の終値690円から立会日数4日間でちょうど株価は2倍となっています。
新潟最大規模のゼネコン福田組が80円高の1147円と大幅高。業績絶好調であり、安倍政権の地方再生・創生というテーマ性にも乗り、買いが継続しています。これで、お盆前の600円どころから株価は2倍近くとなっています。土木の熊谷組も17円高の413円、長野地盤の北野建設も11円高の383円、トンネルなど大型土木に定評の安藤ハザマも22円高の783円と値を飛ばしています。
ABCマートが150円高の5450円と値を上げています。昨日の引け後に8月の既存店売上高が前年同月比8.5%の大幅増になったと発表し、好感した買いが入っています。スニーカーやスポーツシューズの販売が好調です。
ユニクロを展開するファーストリテイリングが570円高の3万3735円と値を上げています。8月単月の国内既存店売上高が前年同月比3.8%増で2ヶ月ぶりにプラスに転じ、7月の4.8%減から急回復したことで好感した買いが入っています。8月上旬は気温が高い日が多く肌着の販売が好調だった一方、下旬に気温が下がり秋冬向けパンツやシャツの販売が伸びています。
建設機械で世界2位のコマツが31円高の2421.5円と値を上げ、約10ヶ月ぶりに年初来高値を更新。2015年3月期に有利子負債を1000億円弱削減すると報じられ、好感した買いが入っています。財務体質を改善し、将来の成長に必要な設備投資やM&A(合併・買収)に備えます。円相場が約8ヶ月ぶりの円安水準となっていることも輸出採算改善の観点から支援材料となっています。
その他、パナソニックが8日連続高で23.5円高の1311円、節税対策で賃貸住宅事業を提案する大東建託が175円高の1万3400円と年初来高値更新、リニア関連でトンネルの土砂を運び出す大容量コンベアを手掛ける日本コンベヤが17円高の299円と6%の上昇、世界首位のHDD用など精密小型モーターの日本電産が121円高の6974円と年初来高値更新。
セメント需要拡大期待で太平洋セメントが4円高の446円、ネオジム磁石の日立金属が14円高の1830円、極小ベアリングで世界シェア6割のミネベアが78円高の1419円、Gショック好調のカシオが47円高の1908円、羽田空港ターミナルビル家主の日本空港ビルが100円高の3980円といずれも年初来高値を更新しています。
本日の新高値銘柄は、熊谷組、大東建託、福田組、日本コンベヤ、アサヒ、戸田工、日立化成、日ペ、イハラケミカル、太平洋セメ、日立金属、コマツ、ミネベア、日本電産、日立国際、ローランドDG、古河電池、カシオ、いすゞ、日本空港ビル・・・等々です。
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【2】主な材料 **
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・安倍改造内閣、経済財政や外務など主要閣僚は続投
・東京オリンピックの専任閣僚ポスト、今秋にも新設
・円、105円台前半 対ドルで一時年初来安値接近
・世界最高性能の電子顕微鏡を開発 東大と日本電子
・ガソリン店頭価格、7週連続の下落 9月1日時点
・世界の半導体売上高、7月は9.9%増 過去最高
・米アップル、iCloudの技術的な脆弱性を否定
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【3】主な投資判断 **
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[シティG証券]
据置き A(1878)大東建託 14,300円
据置き A(3402)東レ 770→ 820円
据置き B(9983)ファーストリテ 34,000円
[UBS証券]
据置き A(3333)あさひ 1,700円→ 1,500円
据置き A(6841)横河電機 1,650円
据置き A(7453)良品計画 13,000→15,000円
据置き A(7741)HOYA 4,000円
引上げ C→B(2685)アダストリア 2,200円
[ゴールドマンS証券]
引下げ A→B(6770)アルプス電気 1,650→ 1,630円
引下げ A→B(6740)ジャパンディス 720→ 610円
[野村証券]
新 規 B(6794)フォスター電機 1,600円
[みずほ証券]
据置き A(4114)日本触媒 1,600→ 1,500円
据置き A(7762)シチズン 1,000→ 950円
[三菱UFJMS証券]
据置き C(3664)モブキャスト 675円
※3段階評価はA~C、5段階評価は1~5にて表記
※投資判断を再開した場合は新規と記載
※価格は各証券会社が判断する妥当株価
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【4】イベント・スタディー **
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企業の買収・合併や増資、指数組み入れなど、個別銘柄の株価に影響を与える事象(イベント)の発生が予想される場合、将来から見た現在の株価の歪みを利用して利益を得ようとする手法を「イベント・ドリブン戦略」と呼びます。
例えば、企業買収が見込まれる時、被買収企業の株式を購入すると同時に買収企業の株式をカラ売りするリスク・アービトラージなどがその例にあたります。
株価形成は一般的に複合的なものであり、イベント完了までには様々な展開やリスクも存在するため、この戦略必ず成功するとは限りませんが、イベント・ドリブンはヘッジファンドの代表的な投資手法の一つとなっています。
このような投資手法ができなくても、例えば株式分割や増資の発表、指数への採用等、株価に何らかの影響を与えそうなイベントの発生あるいは発表があった際は、市場はどのように反応しどのように株価が推移したかを調べ、知識を得ることができます。このことを「イベント・スタディー」といいます。
もう少し分かりやすい観点から、例えばオリンピックや自動車ショーのような世界的なイベント、新型ゲーム機の発表と発売、新しいスマホの発売、新しいサービスや制度の開始、政治的イベント等々、これらは予めスケジュールが決まっており、事象の成り行きと株価形成のシナリオを想定し、検証することも比較的容易です。
場合によりましては、イベント発生以前に期待先行で既に割高な水準だということもあるでしょうし、イベント発生時には必ず話題になるであろう銘柄でも現在は割安な水準に放置されているというようなケースもあるかと思います。
そういったことを具体的に考えることが投資力アップにつながります。
第2次安倍改造内閣と党役員の顔ぶれが明らかになりました。財務・金融、経済財政・再生、外務等の各担当相の留任で安心感が、年金運用見直しに前向きな塩崎氏の厚労相就任で期待感が市場に広がりました。