「IR」と言えば「インベスター・リレーションズ」の略語で、投資家向け情報としてよく使われる言葉ですが、最近は「インテグレーテッド・リゾート(統合型リゾート)」の略語として使われるケースが増えています。
日本では、いくつかのギャンブルを公営で管理していますが、それ以外の賭博行為は社会的弊害が大きいとして認められていません。
カジノ構想は過去に何度も議論されその度立ち消えになった話ですが、カジノ開設を認める「統合型リゾート推進法案(カジノ法案、IR推進法案)」が審議入りし、秋の臨時国会での成立を目指していることからカジノ解禁が現実味を帯びてきました。
政府が目指すのは、たくさんのカジノが乱立するラスベガスやマカオのようなタイプではなく、ホテルや会議場、大型ショッピングモールの一角に少数のカジノを併設したシンガポールのようなタイプです。シンガポールの統合型リゾートでは、面積で5%未満のカジノ施設の売上げががリゾート全体の売上げの7~8割を占めるとされています。
マリーナ・ベイ・サンズの3つの高層ビルの最上階にまたがる巨大な屋上プールの景観は日本でもよく知られていますが、シンガポールでは2010年にマリーナ・ベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサの2つの統合型リゾートが開業し、観光客と観光収入が大幅に増加しました。
シンガポールのようなカジノの開業は、観光立国を目指すという日本の方向性にも合致するというわけで、政府は東京オリンピックが開催される2020年までに3カ所前後のカジノ開設を認める方向で検討しています。
ちなみに、ゴールドマン・サックス証券では、東京や大阪、沖縄に4つのカジノ施設を作った場合の市場規模を1兆5000億円と弾いており、博報堂では統合型リゾートが実現した場合の総消費額は年13兆5000億円に達すると試算しています。