「5,000万円の達成おめでとうございます!」
「大変だったですね、何回かの暴落に耐えて、よくここまで辛抱されて……」
「いよいよこれからは、豊かな生活が待っていますね」
「それにしてもちょっと元気がないようですが、おからだの具合でも……」
長年勤めた会社を辞めると、体調は万全でも、淋しさが先に立ちます。生活の基盤が変わるのですから、将来の人生も心配です。とりあえず今後5年間の収支計算書を作って、経済面に問題がないか検討してみましょう。
収入は、年金と配当金、不動産からの収入があれば、バランスが取れています。家のローンがあったら、退職金で完済しましょう。支出は、夫婦の生活費、光熱費、それに趣味の費用が主なものですが、不定期に発生する家の修理とか冠婚葬祭などを考慮すると、年金だけではとても生活できません。
バランスシートも作ってみましょう。資産としては、居住用不動産、営業用不動産、自動車、バイク、生損保保険、現預金、配当金の原資となる有価証券、ゴルフ会員権、レジャー施設利用権などですが、負債にローンがなければ、当面の生活には問題がありません。
ただ、老後の生活には、現役時代と違った支出があり、これが意外と大変です。主なものは、医療費とエネルギー費です。それに孫たちの小遣い贈与など……。現役時代に掛かっていた住居費、衣服費、自動車・家電製品などの高額消費財の支出は少なくなりますが、現役終了後では意外な出費が出てくるものです。
老後、夫婦二人でチマチマと暮らすなら問題はありませんが、豊かな暮らしをと考えると、定期的に収入が保証される配当金がなければ、とても無理です。夫婦で海外旅行、温泉、ゴルフ、登山と元気なうちは屋外の遊びに夢中になりましょう。
遊びの内容も多様化し、いまや「あそび」は、国の産業の大きな部分を占めるようになり、経済を動かしています。英国では、表に出せないような遊びをGDPに加えるかどうかで、大問題になっています。なにに使うかは、その人の自由……。大いに使えば、それだけ経済が発展するのです。
株式投資は、テーマ株を中心に高配当の維持に努めます。ファンド内のキャッシュフローに注目し、配当を含め投資資金の回収を計りましょう。生涯時間は限られてきましたが、世代にあうよう投資方法を見直せば、10年間に1億円、2倍の目標達成は容易です。
株の売買をどうしてもと思うなら、ポケットマネーの範囲で、株で遊んでみてはいかがでしょうか。生涯投資を心がければ、老化の防止にも役立ちます。
現役時代に従業員持ち株会などで、半ば強制的に買わされていた株式は、家の改修などの支出に備えて処分売りは避けましょう。しばらくの間は、会社から情報に接することができますので、所有していても不安はありません。
とはいっても、1億円も家族に残せば、内輪もめの原因を作り、高額の相続税を納めなくてはならなくなります。天国が近づいたら、資金を回収し、海の見える豪華な老人介護施設に入居し、やさしい看護師に付き添われながら、豊かな生活を送る……。これも選択肢のひとつかもしれません。