http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ2308V_T20C14A7TJ2000/ エナリス、1次産業と発電合体 まずバイオマスでウナギ養殖
新電力のエナリスは林業、漁業、農業など地元の1次産業と発電事業を組み合わせた再生 可能エネルギー発電所の建設に乗り出す。第1弾として、大分県佐伯市に林業で発生する間 伐材を燃料とするバイオマス(生物資源)発電所などを建設。発電時に発生する温水で地元 漁業者がウナギ養殖に進出する。地方自治体の財政難対策と、再生エネの導入を両立できる 可能性を秘めている。
「大規模ではなくても事業として成り立つ『佐伯モデル』を全国に広げたい」。エナリス の久保好孝会長は意気込む。発電能力で2千キロワット規模の中規模バイオマス発電所を5 年間で全国10カ所程度につくる。本来は利益を出しにくい規模だが、地元産業や他の発電と 組み合わせ採算が合うようにすると自信を示す。
佐伯市の発電所群は2016年4月の稼働を予定し、投資額は15億円程度の見通しだ。発電 した電気はエナリスなどが買い取り、公共施設など地元事業者に小売りする。固定価格買い 取り制度を活用することで、発電コストの削減につなげた。電力料金は九州電力よりも5% 程度安く販売するという。地元にとっては再生エネを使いながら、電気代も削減できる。
発生する温水はウナギ養殖に活用する。地元の番匠川はアユ養殖で有名な地。地元漁業者 はウナギ養殖に参入し、地域の柱となる産業に育てる。番匠川漁業協同組合の三浦渉代表理 事組合長は「地域活性化に大いに期待している」と話す。
番匠川には小水力発電所を4、5カ所設置。太陽光発電所はポールを立て地面から数メー トル上に設置し、その下で作物を育てられるようにする。発電能力は中核施設のバイオマス が2500キロワット、太陽光は2千~5千キロワット、小水力発電所は合計1千キロワット 程度の計画だ。
国内では再生エネ開発ブームにより、大規模な発電所の適地が不足している。小規模な発 電所は事業性が低いため、小さな自治体ほど再生エネの導入が進まなかった。複数の種類の 発電所を1カ所に集め、複数の1次産業と連携させる開発モデルは新しく、地方での再生エ ネ導入の促進にもつながりそうだ。