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シニアに照準 レトロ調 デジタル一眼カメラ

 デジタル一眼カメラの形が「クラシック調」に回帰している。フィルムカメラを思わせる角張った金属のボディーが人気だ。デジカメの画素数は一千万~二千五百万画素に達し「画素数競争」は一段落。各メーカーは重厚な「見た目」で中高年層の購買意欲を刺激したり、進化するスマートフォンのカメラと差別化したりすることを狙っている。 


 ニコンが昨年十一月に発売したデジタル一眼レフカメラ「Df」(店頭想定価格二十八万円前後)は往年のフィルムカメラ「Fシリーズ」を想起させる直線的な金属のボディー。上部はピラミッドのような形で、シャッタースピードなどは上に突き出たダイヤルで操作するなどアナログカメラの要素が満載だ。



 懐かしい形や操作性にこだわったのはシニア層の取り込みが視野にある。「フィルムカメラを愛した世代には、デジタルカメラっぽくない形を求める人が確実にいる。高度化したカメラに『使われる』のでなく、自分で操作したいという願望も強い」と担当者。注文が相次ぎ、生産が追い付かない。



 富士フイルムは二〇一一年発売のコンパクトデジタルカメラ「X100」からクラシック調を採用。スマホの付属カメラでは太刀打ちできない高性能機種として市場に送り込むことになり、見た目も「買い替えの早いスマホに対し、愛着を持ってずっと使い続けたくなるような形」を目指した。



 その後、反射鏡をなくし軽量化したミラーレス一眼カメラにもレトロなデザインを採用。今年二月発売の「X-T1」(同十五万円前後)は計画の二倍の売れ行きという。



 オリンパスの「原点回帰」も早かった。〇九年に発売した初のミラーレス一眼「ペン E-P1」に、一九六三年発売のフィルムカメラ「ペン・F」をイメージした上品な金属の外装を採用。若い女性らの新しい客層に買ってもらうには「『女王』と呼ばれたペン・Fの優雅なデザインが受け入れられると考えた」(担当者)という。昨年六月に発売したペンシリーズの最上位機種「ペン E-P5」も人気だ。



 今年二月に発売した最新機種「OM-D E-M10」(レンズ一本付きで同九万五千円前後)もフィルムカメラ時代の「OMシリーズ」がモデル。担当者は「最初はレトロ調が珍しくて注目されていたが、今では上質なカメラは、クラシックな外観というイメージが利用者に定着した」と話す。




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