株式市場が追加金融緩和への期待を膨らませている。日銀は近いうちに動くという読みも多く、その効果で、ここ数日は株高傾向だ。日経平均は続伸し、3日終値ベースで約3週間ぶりに1万5000円の大台を回復した。兜町では、「早ければ4月8日にも追加緩和が発表される」(証券関係者)ともっぱらなのだが……。
黒田東彦・日銀総裁は「日本版QE2」(量的金融緩和第2弾)をいつ打ち出すか――。これが市場の最大テーマになってきた。
「黒田日銀が前回の異次元緩和を発表したのは、昨年4月4日です。市場は歓迎し、それをキッカケに、株価は上昇カーブを描きました。あれから1年。市場は、当時の高揚感を再現してほしいと催促しているのでしょう」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏)
次の日銀の金融政策決定会合は4月7、8日。ここでQE2に踏み切れば、株価上昇に一段と弾みがつく。消費増税による消費低迷が懸念される時期だけに、「景気の停滞ムードを払拭させるため、安倍政権が黒田日銀に要請するのではないか」(証券アナリスト)という声も聞かれる。
その一方で、信じがたい仰天情報が市場を駆け巡っている。ナント、元金融担当大臣で産業競争力会議メンバーの竹中平蔵氏がQE2のタイミングを密かに触れ回っているというのだ。
■市場を混乱させ、5月までの株高維持を目論む
「外資系ファンド関係者から耳にしたのですが、竹中氏は5月の決定会合が開かれる5月21日に追加緩和策が発表されるとにおわせているようなのです。5月は欧米ヘッジファンドの決算期で、売りが大量に出ます。株価は下落しやすい。昨年も23日に日経平均が1100円以上暴落し、市場はパニックに陥った。その悪夢を繰り返さないため、政府筋から依頼された竹中氏が、『21日のQE2で株価は急騰するから、それまで売るな』とヘッジファンド関係者に囁いているといいます」(市場関係者)
4月の緩和実施を望んでいるのは主に海外投資家だ。「緩和なし」で終わると、彼らは日本市場から逃げ出しかねない。そうなったら、株価は大幅下落に逆戻りだ。「それを避けるために竹中氏が暗躍している」(前出の市場関係者)というのだ。
「5月緩和説も疑ったほうがいい。安倍政権が本当に狙っているのは6月です。来年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうかは、今年7-9月期のGDPで判断します。そのためには7月以降の株高が必要。6月に追加緩和を打ち出すのが最も効果的です」(株式評論家の倉多慎之助氏)
追加金融緩和の実施の有無や時期は、政府から独立した中央銀行である日銀が決めることだ。政府が口を挟む余地はない。
ところが安倍政権は、真偽はともかく“竹中暗躍”で市場を混乱させ、5月までの株高維持をもくろむ。そして6月のQE2で急騰をつくり出そうとしている。その思惑が市場に見透かされたら6月を待たずに東京市場は大暴落しかねない。