私の投資法は年代によって変わります。40歳までは1,000万円を「蓄え」、40~60までに5,000万円に「増やし」、60歳になったら配当金で「遊ぶ」投資法です。投資法は、「蓄え」、「増やし」、「遊ぶ」年代で変わるのは当然です。
投資は増やすことですから、1,000万円を5,000万円に「増やす」時期が一番大切です。20年間で、1回でも倍増のチャンスに恵まれれば、簡単のようにも思えます。ヘッジファンドには、1年間で5倍になったのもあるようです。
「お言葉を返すようですが…」40歳までに1,000万円を貯めるのは容易ですが、20年間に1,000万円を5,000万円に「増やす」のは至難の業です。
30歳代で100万円持っている人がいたとしましょう。その100万円を倍にするには、怪しげな株で失敗しても、次のチャンスを狙えます。そして、うまくすれば倍々ゲームで、1,000万円……という、夢のような話が実現するかもしれません。
ところが40歳台代で、1,000万円を2,000万円に増やそうとしたらどうでしょうか。100万円くらいは、倍々ゲームに投じる決断はしても、残りはもう少し、安全な株や利殖の方法を取るのではないでしょうか。結果、運よく100万円が200万円になったとしても、全体では、1割程度の増加にとどまってしまいます。
どんな金儲けにも、リターンとリスクは表裏一体です。そして不思議なことには、だいたいリターンとリスクは同じくらいの大きさなのです。1,000万円を20年間に5,000万円に「増やす」のは、口でいうほど簡単ではありません。逆にこの壁を乗り越えれば、あとは遊んで暮らせます。この時期の投資法こそが、もっとも大切なのです。
ところが多くの人の投資法は、40歳までの一発狙いか、60歳過ぎの人たちがやっている遊びの投資法のように思われます。この欄の日記も、その年代の人たちが多く、結果として投資法も、短期倍々か1日終了ゲームに偏っています。
本来、カラ売りとかデイトレなどは、相場経験豊かな人のものですが、それを最近では株の入門書の一番目に付くところにあります。空売りも、デイトレも、「損切り」さえ、きちんとしていれば怖くなく、アベノミクスが1万円割れしても、信用で売りつないでいれば問題ないそうです。
間違っているわけではありませんので、反論はしません。怖いのは、こういった投資法が身についてしまうと、小さな儲けはできても、大きく儲けられなくなってしまうことです。
株は辛抱強く、安くなったら買い増しして、大きくして売らないと儲かりません。せっかく安いときに買って、いざというときに、たいした儲けもとらないで、売ってしまっては。こんなときに売りつなぐとか、小さな波動を捉えて売り買いするといった、小細工をするようでは……。
それには相場の位置と方向を絶えず描きながら、大きく相場を捕える癖を身に着けることです。大きな金を動かさないと、20年間かけても、1,000万円を5,000万円に「増やす」ことはできません。
前回「株価は何で決まるの?」というテーマのなかで、今の相場は、需給で決まるものの、政権の目標は株価にあるとしました。昨日の大きな下げは、2月につけた今年の安値に向かって二番底を付けに行く過程にありますが、14,000円を割りこむことはないと思っています。
プログラム売買と高速処理で、相場が大きく振れていますが、まもなく相場の主体は外国人から日本人に移ります。あなたが「増やす」年代だったら、大きく振れる相場を利用して、増益基調にあって、ファンダがしっかりした株を、安値で少しずつ買って、投資資金を膨らますのは、いかがでしょうか。
今は、大きな流れを見て、大きく儲けるチャンスなのです。時間は、無限にあるわけではありません。リスクを取れるのも、今だけかもしれないのです。
「株は儲ける夢」を買うのです。1年後の相場を考えながら、「そのとき持株の株価がいくらになっているかを夢に見る」のです。
「大きな夢を見ましょう」そして、
「大きく使いましょう」
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