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焦点:生保は国内金利低下を警戒、外債に興味

   生保は国内金利低下を警戒、外債に興味

 

    

  2013年度下期の大手生命保険9社の資産運用計画がまとまった。
 
  日本国債を中心に投資する基本スタンスは変わらないものの、一段と低下する円債金利や流動性縮小への警戒感は強まっている。

 上期の外債投資は、年度当初の期待ほどは進まなかったが、再び金利低下が進む中で興味を示す生保も多い。国内株式は引き続き横ばいもしくは圧縮させる方針だ。

<円債残高、計画ほどは増えない可能性も>

 下期の資産運用に際して、大手生保から日本国債の金利低下に警戒感を示す声が多くなっている。生保各社は、将来の保険金支払いが負債の多くを占め、基本的に長期国債での運用がメーンになる。
 
ただ、それも金利水準次第。金利が低過ぎては支払いに対応する十分な利回りが得られない。

 明治安田生命は、金利の乱高下や流動性の低下を嫌い、上期に円建て公社債残高を2000億円減少させた。
 
 計画では下期、7000億円を積み増す予定だが、同社の山下敏彦常務執行役は24日の会見で、国内金利に低下圧力がかかる中で「このレベルで国債を買うことには慎重にならざるを得ない」と、長期金利低下に警戒感を示した。

 日本の10年長期国債利回り(長期国債)は0.6%を割り込み、生保の主要運用商品である20年債利回りも1.5%を下回っている。
 
 多くの生保が10年債金利の予想レンジ下限を0.5%に設定しており、さらなる金利低下の可能性を視野に入れている。

 日本生命保険は、下期の増加資金5800億円程度のうち、約7割程度を国内債券やヘッジ付外債などの円金利資産に投資する方針だ。
 
 円金利資産で7割、円金利以外の運用資産で3割とする従来からの運用の大枠を維持するが、大関洋財務企画部長は22日の会見で、20年債の利回り1.5%付近は積極的に積み増す水準ではないとした。

 流動性低下への警戒感も強い。今年4月に日銀が導入した「量的・質的緩和政策」で新発国債を7割購入することになり、国債市場の流動性が低下。「突発的なイベントで金利が急騰するような場合、売れるかどうかわからなくなった」と富国生命の渡部毅彦・財務企画部長は警戒する。
 
 下期は国内公社債を500億円程度積み増す方針だが、金利や流動性の動向次第であり、無理に積み増すことはしない方針だ。

 下期運用計画では、大手9社で1兆円を超える国内債券の積み増しとなっているが、金利が低位で推移し続ければ、残高はさほど増えない可能性もある。

<受け皿は外債か>

 その受け皿となる可能性があるのは外債だ。年度当初の市場の期待ほどは膨らまなかったが、上期の運用実績をみると、円債の代替運用先として外債に資金を振り向けた生保は少なくない。

 太陽生命は上期、外債を2000億円以上増やした。欧州債やカナダ債が中心だが、米国の長期金利が3%に上昇した9月上旬には米国債も購入したという。
 
 下期も引き続き外債は買い増し方向で、為替のリスクを取らずに、ヘッジ付き外債を中心に買い増す方針としている。

 世界の金利の「基準」である米国債の利回りが、米量的緩和縮小(テーパリング)の先送り観測で、再び低下傾向に入っているほか、過剰流動性を背景にしたマネーが各国の国債に流れ込み、金利低下を促す可能性もある。
 
 ただ、それでも日本よりは利回り水準は依然として高く、金利収入を得るために、外債投資は下期以降も拡大する見通しだ。

 住友生命は、国内金利が非常に低い水準で推移する期間が想定以上に長期化する場合、外国債券へのシフトも検討していく、としている。
 
 オープン外債の為替ヘッジについても、ドル/円が緩やかに上昇していくとの相場見通しのもと、徐々にヘッジを外す方針だ。オープン外債の購入が増えれば、円安を促す効果も強まる。

 一方、ヘッジ外債を円金利の代替資産と位置付ける生保は多い。世界的な金融緩和で海外の短期金利が低下し、ヘッジコストは安くなっている。
 
「いい為替水準であれば、オープン外債を積み増したい気持ちがあるが、押し目局面がないとすれば、ヘッジ外債で運用しても利回りは確保できる」(日本生命の大関洋財務企画部長)という。

<国内株には依然慎重>

 一方、国内株式への慎重な姿勢は変わらない。アベノミクスによる株高期待は残っているものの、ALM(資産・負債の総合管理)上、リスクウエートが高い株式の保有比率を増やすことは難しいという。

 富国生命では、国内株式について当初計画通り、簿価ベースで横ばいを上期、下期通じて維持する予定だ。
 
 日本株市場に関しては、円安により輸出企業の収益が改善しているほか、経済や企業にも前向きな動きが出ており、明るい見通しを抱いている。
 
  ただ、ALM上のバランスや、高いリスクウエートを考慮すると、簿価ベースを維持して、株価上昇による含み益を享受する姿勢を維持せざるを得ないという。

 日経平均の下期予想レンジの上限を1万7000円に設定する生保も3社あったが、慎重な投資姿勢は他社と変わらない。

 明治安田は当初計画では、国内株を減少させる方針だったが、上期は100億円程度の増加となった。
 
 同社の山下常務は「ニューキャッシュをどうアロケーションするかということは、日銀緩和以降、変わっていると理解してもらっていい」としながらも、計画外の株式増加をポートフォリオ・リバランスとは呼んでないと指摘。
 
  価格変動リスク抑制の観点から最終的には残高を圧縮する方針だという。
 

 
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