バラの会さんのブログ

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「デイトレード」寄り付きから大引けまでにすべき5つのことⅡ

中ボラティリティ:寄り付きがプラスの日
 過去863日のデータではIV(インプライド・ボラティリティ)が23%以上29%未満のレンジが中程度の水準になります。さらにこのケースで寄り付きが先日比プラスで始まった日を抽出すると全部で163日ありました。これをまた、前日終値を100として、寄り付き・高値・安値・終値と指数化してロウソク足にし、寄り付きの低いものから順に163本並べると、以下のようなグラフになります。


 これが陽線なら、寄り付きで買って、大引けで売れば自動的に儲かることになるのですが、その割合はちょうど50%でした。

 しかし寄り付きが前日比0.94%以上の日だけ、寄り付き買いとすると勝率は70%を超えてきます。前編で紹介した低ボラティリティの場合は1.37%と、結構大きく値上がりした寄り付きのケースでないと、陽線になる確率が上がらないのですが、中ボラティリティの場合、1%程度高く始まるだけで、寄り付き買い・大引け売り、という単純な売買で儲かる確率が上がりました。

中ボラティリティ:寄り付きがマイナスの日
 今度は寄り付きが前日比マイナスのケースを見てみましょう。日数は全部で157。そのうち陰線になったのは88回。56%の確率ですから、とりあえず寄り付きが安い日は売りから入った方が得策だということになります。しかしこの確率を上げるために、確実に7割以上陰線になる水準を調べると、寄り付きから1.11%以上下落したところという結果が得られました。


高ボラティリティ:寄り付きがプラスの日
 最後にIVが29%以上という相場が荒れたケースを見てみましょう。まず寄り付きがプラスになった日は全部で135回、そのうち陽線になった日は74回、54%もありましたから、これは低・中ボラティリティ期にはなかった現象です。

 さらに陽線になる確率を上げていこうとすると、寄り付きが前日比+1.07%以上になった日だけ集めると、7割を超えてきました。意外にも確率を上げようとすると、中ボラティリティのケースよりも、大きな乖離率の日を選ばなければいけないという結果になりました。


高ボラティリティ:寄り付きがマイナスの日
 相場が荒れて寄り付きから安く始まるケースは全部で109日あったのですが、予想通りそういうケースでは陰線になるのが68回、なんと63%もの確率で寄り付きから売りで入って大引けで買い戻すのが儲かることとなりました。

 これだけでも十分なのですが、これまでと条件をそろえるために7割の水準を探してみたのですが、これがなかなかうまくいきません。かろうじて寄り付き前日比-0.71%以下のところを集めて68%まで確率は上がったのですが、どこに網をかけても7割以上の確率は生まれませんでした。これも高ボラティリティ期の特徴なのかもしれません。


シミュレーションを行う
 以上でデータが揃いました。これからボラティリティの水準を見て、前日の乖離度を決め、それ以上、あるいはそれ以下の水準なら買う、あるいは売る、という注文を出してそれぞれ大引けで反対売買の注文を出していたらどうなっていたかをシミュレーションしてみることとします。具体的には、以下のような手順となります。

(低ボラティリティ期:IV23%未満)
寄り付きが前日比+1.37%以上の日は、寄り付き買いを入れ、大引けで反対売買を行う
寄り付きが前日比-0.92%以下の日は、寄り付き売りを入れ、大引けで反対売買を行う

(中ボラティリティ期:IV23%以上29%未満)
寄り付きが前日比+0.94%以上の日は、寄り付き買いを入れ、大引けで反対売買を行う
寄り付きが前日比-1.11%以下の日は、寄り付き売りを入れ、大引けで反対売買を行う

(高ボラティリティ期:IV29%以上)
寄り付きが前日比+1.07%以上の日は、寄り付き買いを入れ、大引けで反対売買を行う
寄り付きが前日比-0.71%以下の日は、寄り付き売りを入れ、大引けで反対売買を行う

では、その結果を見てみましょう。


 シミュレーション結果はなかなか良いものでした。計測期間は2009年1月5日から2012年7月11日まで。この間の年率換算リターンは42.5%、年率換算リスクは10.6%となかなかに優秀です。また一日当たりの最大損失は2.6%、累積最大損失は2009年2月9日から10日にかけて発生した4%という結果となりました。

7月25日のIVは22.64%
 
さて、足元の株式市場を見てみると、膠着状態が続いています。IVの水準も低く、日中の値動きも小幅なものにとどまっていますが、これは先ほどのシ ミュレーション結果から導かれた、“低ボラティリティ期においては、寄り付きが前日比+1.37%以上の日は、寄り付き買いを入れ、大引けで反対売買を行 い、寄り付きが前日比-0.92%以下の日は、寄り付き売りを入れ、大引けで反対売買を行う”、というルールにのっとれば、うかつに手を出さない局面であ ると言えそうです。

 しかしここにきてIVが少し上昇してきました。そろそろ23%を超え、中ボラティリティ期に入りそうです。こうなると+0.94%以上で買い、-1.11%以下で売りという条件に変わってきます。明日以降、このあたりのところが注目です。

 ただ問題として残るのは、シミュレーションを現物の日経平均株価で行っているところです。実際には日経平均先物や日経平均ETFで取引することになるのですが、果たしてこれが指数と完全に連動してくれるかどうかはその場になってみないとわかりません。それでも考え方は同じですから、後の課題は戦術面での対応の工夫ということになります。

<了>

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