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「リスクもないけどリターンもない商品」だった?










 リスク低減金融商品を勝手に検証したら、「リスクもないけどリターンもない商品」だった?


 












「リスク低減」投資は有効なのか、検証してみた




 相場のクラッシュ時には、日経平均が1日で1,000円も下がる日もあります。また、「上がり百日、下げ3日」という投資格言があるように、上昇時はゆっくりなのに、下がるときはドカン・ドスンと一気に下がることが多いようです。



 この値動きイメージに合わせて、「相場の値動きが大きい時には投資ポジションを減らし、値動きが小さいときには目一杯投資する戦略」を売り物にした金融商品が出ています。仮にその戦略が有効なら、個人ベースでも使わない手はありません。そこで、このリスク低減投資戦略の効果を検証してみました。




「平時は資金の100%、荒れ相場では資金の50%」投資スタイルの効果は?

 1989年1月の日本の株・不動産バブル崩壊直前から、2013年6月末までの日経平均の価格データを使って、30日間の価格変動率(日次収益率の30日間の標準偏差を√250=15.8倍して年率に換算)が大きな時、つまり荒れ相場では資金の50%だけ投資し、そうでない平穏な時は100%投資していた、という設定で検証してみました。

 常に100%投資していれば、日経平均が32,149円48銭(30営業日目の2月15日)から13,677円32銭(2013年6月28日)に下がったので57%もの大損となっています(以下、すべて売買コスト・税金・配当を除いた試算)。

 今回の投資アイデアである「直近の価格変動率を見て、相場が荒れてきたらポジションを小さく」した場合の結果は下記のようになりました。価格変動率がどのくらいで荒れ相場と判断し、投資資金100%と50%を切り替えるかがミソですが、どれも「……。」といった感じです。

 最も良かったのが、価格変動率14%を境に投資割合を増減させた場合で、当初資金を1,000とすると563.4になりました。全期間100%投資だと427.6になっていたので、それよりはかなりマシといえますが、大損していることには変わりありません。





 ちなみに変動率の計測をより短期間の10日間にすると、ノイズが増え、投資成績はさらに悪化しました。この場合、最も良かったのは同じく価格変動率14%を用いた時ですが、運用成果は479.1まで低下しています。ただ、「長期下落相場でも相対的に損失が少ない手法」とは言えそうです







もうひとひねりして、荒れ具合を3段階にしてみたら……

FX会社最新順位と比較





 暴落している時は買いポジションはない方がよいので、相場が安定している時は100%、ちょっと荒れ出したら50%に減らし、大荒れになったら10%までポジションを減らすような工夫の余地もありそうです。

 そこで、平穏相場とみる価格変動率を5%~15%、大荒れの目安とする変動率を15%~25%の範囲でいろいろと変えて試してみました。結果は、どうやら荒れ相場のシグナルとなるような価格変動率が存在しているようで、以下のようになりました。



最も良かったもの

 平穏相場の目安7%、荒れ相場の目安15%、投資結果974.5

 

“運用っぽい”もの

 平穏相場の目安10%、荒れ相場の目安17%、投資結果846.5

 ただし、7%以下の価格変動率、つまり平穏相場となるのは全営業日の0.83%、23年間で50営業日しかないですし、50%の資金を投資するはずの価格変動率15%以下でも全営業日の5分の1しかありません。このため、プロがこの方法を用いると「サボっていないで仕事しろ!」と批判を受けそうです。

 そこで、パフォーマンスが大きく下がる手前の水準を探すと、10%と17%を使うものとなります。これだと、全営業日のうち5%の期間は100%投資、約30%の期間は50%の資金を投資し、残りの65%の期間は10%だけ投資することになり、「きちんと運用してますよ!」といえそうです。結果だけをみれば、基本的には下げ基調だったので全期間フル投資の430よりはかなり良い結果となっています。

 とはいえ、この投資戦略は投資していない期間が長く、価値を維持するコストだけかかってしまいます。それに、もっと簡単な「10月末に買って4月末に売る半年投資術」なら、この期間でもプラスのリターンになるので、投資戦略としてはかなり改善する余地がありそうです。



「荒れ相場なら投資しない」戦略を使ってみるなら

 30日価格変動率と日経平均の値動きをチャートで見ると、この運用戦略の問題点が見えてきます。まず、暴落の初期には価格が急落した後で価格変動率が急上昇します。つまり、最初の大きな下げの影響をまともに受けてしまうことになります。

 

 また、投資ポジションを減らして暴落の第2波、第3波を避けることができる代わりに、長期の上昇トレンドも逃してしまっています。このため、2003年のりそなショック後の戻し、2005年の郵政相場や昨年末からのアベノミクス相場のような価格変動率が上昇する大相場には乗れません。

 実際に、この「価格変動率」投資戦略を使うのであれば、損をしない以上に儲けるための修正が要りそうです。具体的には、プット・コールレシオのような「過熱感を知らせるシグナル」を使って相場の天井を探ったり平穏な相場はレバレッジをかけて儲けを大きくしたり、長期上昇トレンド発生中は価格変動率が高くても投資割合を増やしたりするとよいと思われます。
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