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都の新電力契約 300施設 東電からの切り替え 10倍に


 



契約先を新電力会社に切り替えている東京都水道局練馬給水所






 東京都は今秋をめどに、都の所有する約三百施設の電力契約先を東京電力から新電力に切り替える方針を固めた。都は既に約三十施設で新電力と契約しているが、十倍に増やし、大口消費者として率先して新電力を育成する狙い。契約電力の合計は約十万キロワットに上り、新電力と契約する自治体としては画期的な大口となる。契約先や価格は入札で決まるが、一年間で十億円程度の経費節減になる可能性もある。

 都によると、切り替えるのは、都立高校や都税事務所など。都の全ての契約電力は原発一基分の出力に相当する約百万キロワットで、約三百施設はこの十分の一を占める。

 都は震災後に新電力への切り替えを進め、昨年四月の時点で十一施設が受電。東電と新電力の両者から供給を受ける複数契約を導入するなどし、この一年間で練馬給水所(練馬区)など約三十施設に増やした。三十施設分で少なくとも年間一億円の経費節減になったとみられる。

 都が今回、新電力への大量切り替えを決めた背景には、東電が新電力の供給量不足を補う「常時バックアップ」と呼ばれる仕組みに積極的に応じる方針に転じ、新電力が安定供給できる見通しが立ったことがある。

 新電力の多くは自前の発電施設を持たず、工場の余剰電力や市場で調達しているが、夜間を中心に電力が不足しがちだった。過去には都が入札を行っても、新電力の供給力不足から入札が不調に終わることもあった。

 しかし、国の電力システム改革専門委員会が二月、新電力の新規契約の三割程度を常時バックアップで補うよう電力会社に要請。新電力のシェア拡大を提唱する都の猪瀬直樹知事も二月、東電との会合で常時バックアップ促進を求め、東電も要請に応じた。

 都の幹部は「電力需給が厳しい夏場を乗り切った後、民間の新電力需要を妨害しない形で切り替えを進めたい」と話している。

 新電力大手の「エネット」(東京)は「常時バックアップは電力会社が渋ったり、高値で卸したりしてできなかった。こうした仕組みが広がれば前進」と期待する。

<新電力> 正式名は特定規模電気事業者。3月現在で全国に79社あり、契約電力50キロワット以上の事業所や工場に電気を供給する。家庭用などを除いた電力自由化部門に占める新電力のシェアは、2011年度現在で3・5%。24時間稼働する大規模発電所を持つ電力会社に比べ、調達できる電力量が限られる。









 


 


 

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