人はロマンを求めて群がる。
そう思いたい。
証券会社が「株屋」と呼ばれている時代があった。
勿論、賛美の言葉ではない。むしろ蔑みの言葉である。
一方で、商品取引員は「相場屋」である。親しみの微塵もない。
今から数十年前、ある投資家に会った。
彼は商品一本で、株式はやらない。
しかも、「コーヒー」専門だ。
いつも「アラビカコーヒー」の価格を気にしていた。来る日も来る日も・・・
アラビカは値動きが荒い(商品は皆そうかも知れんが)。
連日ストップ安を喰らっていた。ストップ抽選だから処分も出来ない。
彼の作戦は、難平。ストップでナンピン買いである。
すでに数千万つぎ込んでいる。見かねた俺は、彼に言った。
「難平買いは危険です。止めた方がいい」
そんな俺の忠告を、彼はこう受け流したものだ。
「それは解ってる。解ってるが、ここで処分したら今までの苦労は何だったんだ?」
「俺はこのアラビカと心中するよ・・・」
この言葉を聞いた時、俺は胸にこみ上げるものがあった。
アラビカコーヒーは上がりますよ・・・
是非買って下さい。
この人に、そう勧誘したのは他ならない俺だったのである・・・・。
落ち込む俺に彼は言った。
「気にするなよ。アンタも俺が損する事を望んだワケじゃない。ただ俺は、アンタの言う銘柄に賭けてみたかっただけだ・・・」
その後、俺は職を辞めた。
1件のコメントがあります
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touzaidoさん、こんにちは♪
この簡潔な文章の中でも、お二人の何か大きな感情がとても密に集約されて伝わってきます。
正直何かとても切ないです。
特に、、
>ただ俺は、アンタの言う銘柄に賭けてみたかっただけだ・・・」
このフレーズがとても心に響きました。
この簡潔な文章の中でも、お二人の何か大きな感情がとても密に集約されて伝わってきます。
正直何かとても切ないです。
特に、、
>ただ俺は、アンタの言う銘柄に賭けてみたかっただけだ・・・」
このフレーズがとても心に響きました。