富士山3個分の氷床失う 南極とグリーンランド
南極やグリーンランドの氷床が、過去20年間に計4兆2600億トン失われ、解け落ちた氷によって世界全体で約1センチの海面上昇が起きたとする推計を、英リーズ大や米航空宇宙局(NASA)などの研究チームが30日付の米科学誌サイエンスに発表した。失われた氷床を容積に換算すると、富士山約3個分に相当する。
地球温暖化の影響が表れやすいとされる北半球のグリーンランドが特に深刻な状況だった。また、海水温の上昇によって陸から海にせり出す棚氷の崩壊が加速していると警告する別の論文を米ワシントン大のチームが同誌に発表した。
地球温暖化対策を話し合う気候変動枠組み条約の第18回締約国会議がカタールで開かれている中、進行する脅威をあらためて示す結果となった。
リーズ大のチームは、観測時期や搭載センサーが異なる3種類の衛星データを統合する手法を開発し、南極とグリーンランドの氷床が1992~2011年にどのように変化したか調べた。すると、南極の東側でやや増加したのを除き、ほかの場所では大きく減少しており、全体では1年に2千億トン超のペースで氷が失われていた。
20年間の累計では、南極で失われた氷は1兆3200億トンだが、グリーンランドでは倍以上の2兆9400億トンだった。合わせると同時期の海面上昇幅の20%に相当する1・11センチの上昇が起きた計算。チームは今後もグリーンランドの氷の変化を注視する必要があると指摘している。