株式投資は、将来の変化に資金を預けるゲームですから、投資に当たっては、明日の株価がどうなるかの判断がもっとも重要です。
株価予測については長い間、ファンダ派とチャート派が、その優位性を争ってきましたが、コンピュータの進歩により最近では、デジタル派が大勢を占めるようになってきました。
株価を動かす情報の量と質をコンピュータにかけ、デジタル化された重さで動く方向を決めようとするものです。経済番組のキャスターや新聞の株価予測は、ほとんどこの方法を使っています。前日の海外市場の動きや、シカゴの日経平均先物などから、その日の株化の動きを高い確率で言い当てることができます。
そのため、ベテランのキャスターも、昨日入ったばかりのアナウンサーでも、その日の株価を口にします。最近では、著名なアナリストたちまで、デジタル的に株価を予測するようになり、外れてもみなと同じなので弁解もしません。
短期では、デジタル予測にかなうものがありません。日本市場の寄り付き値段は、デジタル化された値段とほぼ一致するのが当然とされています。多くの機関投資家は、海外で相場を作り、日本市場で利益を確定するようになり、機会を失った個人投資家は、ただうろうろするばかり。
確率の高い予測方法は、みな同じ方向に動くため値動きが一方的になります。上下に激しく揺れるか、あるいは最近のようにほとんど動かなくなってきます。これでは市場は成り立ちません。デジタル化にも壁があるようです。
寄り付きの値段は、デジタルで分かりますが、それから先の要素は、そう簡単ではありません。最近では寄り付き値段より、その後の株価の動きを予測することのほうが大切になってきました。デジタル予測は寄付きまで、そのあとは今のところ、明確な答えが出ていません。
長期投資ではどうでしょうか。株価を動かす要素は多くなり多様化してきます。過去の例からだけでは、同じ結果になるとは限りません。いくら精度の高いコンピュータを使っても、入力するデータの数や質に問題があれば、結果の精度は上がりません。
私は長期の株価予測は、デジタルよりアナログだと思っています。デジタルで日本の株価を予測すれば、アメリカでは財政の壁、ヨーロッパではギリシャ問題、中国は政権の交代と、どれも悲観的な要素が多く、日本の株価は下がり続けるばかりです。
ただ私は、年内に総選挙があるという前提で、年内1万円説を変えていません。
私の年内1万円説は、以前からの主張ですので、その根拠については改めて触れません。ただひとつだけ強調したいのは、解散が株価に与える影響です。
いうまでもなく民主党政権の交代があるからです。私は、民主党政権の政策は、政権をとって3年間の株価の動きが、すべてを証明しています。多くの先進国の株価が、リーマン前の水準を回復しているにもかかわらず、日本は相変わらず、リーマンショック後の安値をさまよっています。政治が経済を動かし、経済が株価を動かすという事実は、今も昔も変わりません。
政権が変われば、金の流れが変わります。特に日本の富裕層の考え方に変化が起きす。日本の富裕層は、バブル後20年間、リスクを取るより安全を選んできました。デフレで物価が上がらず、預金で持っていたほうが安全だったからです。この傾向は、民主党政権になっていっそう鮮明になってきました。
政権が変われば、次期日銀総候補の名前も、おおっぴらに言えるようになります。そうなれば円安がより鮮明になり、物価は上がり出します。海外逃避か銀行預金しか選択肢のなかった富裕層のお金が、株に雪崩を打って向かいます。それが政権交代です。
年内選挙の可能性は高まれば、年内1万円も実現の可能性がでてきます。あと1週間の辛抱です。