米大統領選挙の行方によって、アメリカ経済はどう動くか予め知る必要がある。
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◆ロムニー氏、当選なら金融資産の大量放出へ
きっとそれは壮大なスケールの金融資産ガレージセールになるだろう。
米大統領選の共和党候補ミット・ロムニー氏が当選した場合、連邦政府の規則を守り、政治的問題を避けるため、投資ポートフォリオのかなりの部分を売却しなくてはならなくなりそうだ。
複数の政府倫理専門家やロムニー氏の財政に詳しい人物が語った。
ロムニー氏の資産は1億9000万~2億5000万ドル(約152億~200億円)とされ、これには同氏が15年経営していたプライベート・エクイティー(PE)ファンドのベイン・キャピタル傘下のヘッジファンドやPEファンド、パートナーシップへの投資が含まれる。これらは、政府の動きに影響されうる数十の企業に出資している。ラジオ会社クリア・チャンネル・コミュニケーションズや中国に拠点を持つビデオ監視会社もその例だ。
政府の仕事に就いて株を手放した実業家や金持ちは多い。だが、ロムニー氏の場合は特に複雑になりそうだ。PEファンドへの投資は評価が難しいことがあり、保有者が変わることはめったにない。売却する場合には慎重を期し、次期大統領が買い手から優遇されているような印象を与えないようにしなくてはならない。
ロムニー氏が投資するファンドの一部は投資先の詳細を公開していないため、同氏は開示規定を満たすのが難しいかもしれない。売却をせずにそうする方法があるかもしれないが、大半の倫理専門家は同氏がこうした資産を保持することはなさそうだと考えている。
ジョージ・W・ブッシュ政権で倫理を担当した法律家で、ロムニー氏を支持するリチャード・ペインター氏は、そうした資産の「多くが売却を免れないだろう」と述べた。
ペインター氏によれば、大統領になったロムニー氏は、売却せずに連邦法の開示規則を順守できたとしても、そのポートフォリオには利害相反の可能性があまりに多いため、最も無難な資産以外は売却した方が政治的に賢明だとの判断になりそうだ。ペインター氏は「わたしがホワイトハウスの倫理担当弁護士で、彼が大統領だったら」、投資の多くについて「単純に取り除くよう忠告する」と話した。
ロムニー陣営は6月にAP通信に対し、同氏が当選した場合、「大統領に適用される連邦開示規則その他規則を完全に満たさない資産があれば、その資産は処分される」と説明した。
最近の大統領の個人資産に対するアプローチはさまざまだ。
オバマ氏は、金融資産を株価指数ファンドなどの単純な商品に替えた。ジョージ・W・ブッシュ氏は、就任前に「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託、第三者が運用において完全な裁量権を持つ)を創設し、任期が終わるまでにはトラスト以外の資産はおおむね米国債と譲渡性預金証書(CD)になっていたようだ。
マサチューセッツ州知事時代のロムニー氏は、自身の個人弁護士が運用するブラインド・トラストに資産を置いた。ロムニー陣営は、同氏が当選した場合、さらに厳しい連邦政府のガイドラインを満たすブラインド・トラストを創設する方針を明らかにしている。
記事元 WSJ日本版
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_541063?mod=WSJFeatures