公募1年前から工作か 陸自ヘリ官製談合疑惑

arama-さん

 陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UHX」開発をめぐる官製談合疑惑で、防衛省技術研究本部(技本)に在籍していた二等陸佐(48)らが、開発メーカーが公募される約一年前の二〇一〇年八月ごろから、川崎重工業の受注を確実にするための裏工作を繰り返していた疑いがあることが分かった。同社の担当者と頻繁に連絡を取り合い、内部文書を提供したほか、省内の議論の経過やスケジュールも細かく報告していたとみられる。


 東京地検特捜部は、官製談合防止法違反容疑で二佐ら四人を事情聴取している。一〇年八月はUHX開発の概算要求がまとまり、富士重工業も本格的に受注競争に乗り出した時期。特捜部は、川崎重工業の受注が確実でなくなった危機感が、裏工作の背景になったとみているもようだ。



 防衛省関係者によると、二佐らは概算要求後、川崎重工業の担当者と秘密裏に会合を複数回開くなどして、自ら作成したヘリの仕様書の原案を担当者に提供。同社側の要望を盛り込んだ仕様書の修正版も作り、省内の反応なども伝えていたとみられる。



 UHXをめぐっては、陸自中枢の陸上幕僚監部(陸幕)がかねて、川崎重工業製の観測ヘリ「OH1」の改造案を主張してきた。



 防衛省は一〇年四月、省内の予算編成をまとめる内局、陸幕、技本の課長級でつくるプロジェクトチームを発足。国内外のメーカーから価格や性能の情報を集めて検討した結果、国産機を改造する開発が長期的にコスト減につながるとの結論に達した。



 この方針に沿って、同省はUHX開発費四十六億円を概算要求。予算化の見通しが立ったことで、現行機「UH1」を生産してきた富士重工業も受注獲得に向けた調査を本格化していた。



 防衛省は一一年九月、プロジェクトチームが企業側の提案を採点する「企画競争方式」で開発メーカーを募り、二社について採点。今年三月に川崎重工業と随意契約を結んだ。二佐らの裏工作が、企画競争の公正さを阻害する秘密の漏えいにあたるかが、東京地検特捜部の捜査のポイントになっている。

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