食べやすいようにやわらかさを追求した高齢者向け食品の市場が急成長している。2011年の出荷額は約93億円と、正式に統計を取り始めた04年に比べて7年で4倍超に達した。今後、在宅介護の増加とともに自宅での利用者が増えると予想し、参入する企業が相次いでいるためだ。業界団体は「毎年10%超の成長を続けており、12年の出荷額は100億円を超える」と予想している。
国は、在宅介護を受ける人が25年度に現在の1・4倍の463万人になると予測し、在宅介護・医療サービスを拡充する方向を打ち出した。人口減少で日本人全体の“胃袋体積”が縮小する中で、在宅介護を受ける高齢者に向けた食品が食品業界の数少ない成長分野となっている。
食品メーカーなど47社が加入する日本介護食品協議会(東京)によると、生産量、出荷額は04年に約2千トン、約23億円だったが、11年には約8千トン、約93億円になった。
流動食などの高齢者向け食品は従来、病院や老人ホーム向けだった。近年、食品メーカーのほか水産加工や飲料、医薬品といった多様な業種の企業が、見た目は普通の肉や野菜と変わらないのに、舌や歯茎でつぶせるほどやわらかい食品などを開発。「食品の種類は04年の155から11年には802と約5倍に増えた」(同協議会)
一般食より少しやわらかい程度の食品の種類が充実し、介護する家族が買い求め、高齢者と一緒に食べるケースが増えているという。