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増税法案に「黄信号」 自民反発、頼りは公明

 野田佳彦首相が政治生命を懸ける消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革関連法案に「黄信号」がともり始めた。参院採決、成立を目前に、自民党が衆院解散・総選挙の時期を確約しない首相に強く反発し対決姿勢に切り替え始めたためだ。民主党は解散先送りが大勢で時期の明示は難しく「進むも地獄、退くも地獄」(周辺)の状態で、頼りは関連法案成立を優先する公明党だけとなりつつある。

 首相は5日、視察先の福山市で記者団に「一体改革関連法案は自民党にも公明党にも苦労を掛けながらまとめたものだ。今国会でしっかり成立させることが最優先だ」と神妙な表情で話した。

 官邸は7月まで、関連法案に関する自公両党との3党合意を踏まえ「ここまで来て破棄はあり得ない。谷垣(禎一自民党)総裁も成立させたいはずだ」(首相周辺)と楽観論が支配していた。首相は参院採決日程をめぐり輿石東幹事長の対応に口出ししなかった。

 ところが8月1日の民自参院国対委員長会談で、一体改革法案の成立で解散ムードの高まりを警戒する民主党側が20日に先送りする採決日程を提案したことが自民党の反発を招いた。

 政府関係者は「ぎりぎりの球を投げればいいのに、なんで20日なんだ。このままだと、あぶはち取らずになる」とこぼしたが、同じ1日に首相が2013年度予算編成を主導する意欲を示した発言がさらに自民の不信に拍車をかけた。

 慌てた首相は3日、民主党の輿石氏と官邸で会談し採決日程前倒しに柔軟に対応するよう指示。自らはインタビューで年内解散の可能性を否定しなかっただけでなく、「今のメッセージで(谷垣氏の)誤解は解けないでしょうかね」と付け加えるなど火消しに躍起となった。

 それでも自民党は衆院解散時期の確約を求め、対決姿勢を逆に強めるばかり。周囲は「無理筋だ。民主党内の情勢を考えても(時期の明言を)のめるはずがない」(官邸筋)と嘆く。

 唯一の期待は、3党合意を重視して自民党に独自の内閣不信任決議案提出を自重するよう促す公明党の動きだ。「心ある野党と連携して…」。福山市で不信任案について聞かれた首相はこう答え、協力を求めるメッセージを送った。

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