むかし、高校生のとき、びっくりしたことがある。
クラスでなにげなく話しいていたとき。
ある女の子が、
「わたしんち、仏壇ないの!」と言った。
ぼくには、仏壇なんてどこにもあり、あたりまえの感覚だったので本当にびっくりした。
詳しく聞くと彼女は、神主の娘だった。
そうか、神主の家には仏壇がないのか!
すると寺には、神棚がないんだな!
我が家には両方ある。
それから徐々にぼくの信仰心にゆらぎが生まれた。
社会人になって、ある神社をとおりかかったとき、
若い神職の男が、不思議なことをしていた。
神社の正面に赤い車が止まっている。
なにやら今からお祈りを始める仕草だ。
どうも車は、新車らしく横に若い女の子がたっている。
若い神職の男は、その車の4つのドアを開けるように言っている。
なにごとだ?
準備が整ったんだろう。
若い神職は、車のまえで、お馴染みの紙切れのついた棒を2,3度うやうやしく振りながら、なにかノリトを言っている。
若い女の子は、運転席横でコウベを垂れている。
やっとわかった。
新車を買ったので、安全運転の祈願をしていたのだ。
始めて見た。
それからぼくは、神社の正面の鈴をつるしてあるところにいって、
おみくじを片手にワシヅカミして持ってきた。
もちろん、お賽銭は出さずに。
会社の昼休みにそれらをひとつずつひろげてみた。
大吉とか似たようなものばかりだった。