松江市は2日、性同一性障害と診断された同市の市民団体代表上田地優(ちひろ)さん(54)の要望を受け、表面に性別を記載しない国民健康保険証を交付した。市民の要望を受け保険証の表記を変更するのは全国初とみられる。
保険証表面の性別欄に「裏面記載」、裏面の備考欄に「戸籍上の性別 男(性同一性障害のため)」と記した。厚生労働省は「全国でも初めて聞く対応」としている。
市は4月、保険証を折り畳み式からカード型に変更。性別の記載が目立つようになり、上田さんは6月中旬「医療機関で保険証を示すのが苦痛で医療を受けられない」とし、表記の変更を市に求めていた。
市保険年金課は「医療の機会を確保するため緊急避難として対応した」としている。
上田さんは戸籍上は男性で、2007年から性別適合手術を受けなくても保険証の表記を「女」に変更するよう、市に要望を続けていた。「長年の訴えを受け止めてもらえた。『女性』と記載してもらえるよう引き続き求めたい」としている。