アイデアに富んだ非常食 使いながら備蓄する習慣

AAI Fundさん
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東日本大震災から間もなく1年。


各地のスーパーなどでは防災用品や非常食を集めたコーナーを立ち上げ、改めて日頃からの備えを喚起している。


震災直後から、被災地はもちろん、広範囲で不便を強いられた「食」。


どう乗り切ったかを振り返り、そこから浮かび上がる“食の教訓”を2回にわたって探る。(榊聡美)

あるもので工夫

 震災後、ライフラインも食料もままならない困難な状況下で、何を作り、食べていたか-。

 昨年12月にまとめられた、仙台市民の食の記録集『私はこうして凌(しの)いだ-食の知恵袋-』(仙台ひと・まち交流財団発行)で、その一端を知ることができる。

 缶詰を組み合わせて作ったサバのトマト煮、牛乳の代わりに粉ミルクで作ったシチュー…。


アイデアに富んだ非常食からは「あるもので工夫する」ことの大切さが伝わってくる。

 仙台市青葉区に住む、ベターホーム協会の料理教室講師、今野敬子さん(63)は、混乱が収まるまでの間、あるもので食をつないだ一人だ。

 「自宅にあった食材をチェックし、日持ちのしないものから順番に使うようにしました。買い物をするため、長蛇の列に並ぶことはありませんでした」

 直後は水や熱がいらない、そのまま食べられるクラッカーやチーズなどを口にした。


ショックで、食欲も湧かなかったという。

 3月16日に電気が復旧し、普通に調理ができるようになると、買い置きしておいた乾物や乾麺、真空パックのお餅などが役立った。

 冷凍庫で保存してあった手作りの料理にも助けられた。


今野さんは、ミートソースやラタトゥイユなど、一度にたっぷり作って、冷凍しておく習慣があった。

 「ミートソースはパスタだけでなく、ゆでたジャガイモにのせたりして、いろいろと活用できた。日頃から、時間やエネルギーの節約にと、やっていたことは結果的に非常時にも役立ちましたね」

棚をいっぱいに

 震災後、首都圏でもスーパーやコンビニに買いだめに走る人が増え、次々と食品や食材が消えた。

 東京都江東区在住の管理栄養士、新生暁子(しんじょうときこ)さん(40)は、そんな様子を尻目に「特にあわてることはなかった」という。

 自宅に「備蓄棚」があったからだ。幅約70センチ、高さ約2メートルの棚には、震災から1年がたとうとしている現在も、レトルト食品、缶詰・瓶詰、粉類などがびっしりと詰まっている。

 神戸市出身の新生さんは17年前、阪神大震災を経験。結婚を機に上京してから、この備蓄の食料を切らしたことがない。

 《自分の身は自分で守る。誰かにしてもらおうとすると不平・不満が出てくる》。


阪神大震災を通して得た教訓だ。

 ただ、備蓄して安心しているわけでなく、普段から活用している。

 「蓋を開ければ食べられる缶詰や瓶詰は火は通っているし、味も決まっている。料理に使う際も味付けは楽だし、時短につながる。普段の食卓であと一品欲しいときに便利なんです」と、新生さんは説明する。

 日常使いすることで、いざというときに賞味期限が切れていた、という失敗も防ぐことができる。

 2人の食のプロは「使いながら備蓄する習慣が役立った」と口をそろえる。


半面、スーパーやコンビニを冷蔵庫代わりにする生活に警鐘を鳴らす。





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