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イラン選挙 ハメネイ師派勝利 対外強硬姿勢強まる
<イラン>大統領派が惨敗…核、緊張高まる恐れ 国会議員選
毎日新聞 3月3日(土)21時19分配信
【テヘラン鵜塚健】イラン国会議員選挙(定数290)で国営テレビは3日、保守派が全議席の75%を獲得する見通しだと報じた。最大の焦点だった保守派内の勢力争いでは、最高指導者ハメネイ師支持派にアフマディネジャド大統領支持派が惨敗することは確実だ。これにより、イランの対外強硬姿勢がより強まる可能性がある。イスラエルによるイラン核施設への空爆の可能性も指摘される中、核開発問題を巡る緊張が一層高まりそうだ。
◇ハメネイ師派、勢力伸長
国営テレビが3日正午(日本時間同日夕)に報じた途中集計によると、ハメネイ師派の当選が112議席なのに対し、大統領派は10議席にとどまる。改革派は28議席。
内務省によると、保守派の大物でいずれも反大統領派のラリジャニ国会議長▽ハダドアデル元国会議長▽ボルジェルディ国家安全保障・外交委員長らは当選した。大統領の妹パルビン・アフマディネジャド氏は落選した。
イラン政界では、イスラム体制の頂点にある聖職者ハメネイ師と、憲法上、体制ナンバー2の非聖職者アフマディネジャド大統領が激しく路線対立している。ハメネイ師派の勢力伸長を受け、選挙後の国会でハメネイ師に近いラリジャニ議長など反大統領派が発言力を増すのは確実だ。
今の保守派内で劣勢の大統領派の衰退が一層進めば、核開発問題や米欧との外交関係で宗教界の影響力が強まり、強硬姿勢を加速させる可能性がある。
アフマディネジャド大統領派はこれまで、水面下で米欧諸国との核協議再開に向けた調整を進めてきたとみられるが、イランが米欧への協調姿勢に転じる可能性は遠のいた格好だ。
今回の選挙は、来年6月の大統領選の前哨戦とも位置づけられる。大統領は側近のマシャイ元大統領府長官に次期選挙を機に権力を継承したい意向とみられており、次期選挙にも影響が及びそうだ。
◇「先制攻撃論」に拍車…危機感強めるイスラエル
【エルサレム花岡洋二】核開発を巡りイランと敵対するイスラエルは、イラン国会議員選挙でのハメネイ師支持派の台頭に危機感を強めている。2日付のイスラエル紙ハーレツは「ハメネイ師にとって(核開発は)自身の政治生命をかけた戦いだ。いかなる妥協も『西側への降伏』と批判されると気にしている」と分析。イランが強硬姿勢を貫けば、イスラエル国内の緊張は高まり、「先制攻撃論」が強まるのは必至だ。
イスラエルの研究機関「学際研究センター・ヘルツェリア」のメイル・ジャベダンファール教授は、今回の選挙でアフマディネジャド大統領支持派は退潮し、「政治的に暗殺される」とみる。ハメネイ師は大統領以上に核開発にこだわりがあるといわれている。保守強硬派の宗教権威メスバハヤズディ師の勢力が伸長すれば、核協議の実現はさらに遠のくという。
イスラエルのネタニヤフ首相は2日、訪問先のカナダで会見し、欧米などが再開を目指すイランとの核協議について「(イランが核開発の)時間稼ぎに悪用できる」との見解を示した。また「我々には自衛の権利がある」と述べ、イスラエルによる先制攻撃の「正当性」を主張した。
イスラエルはイランの核開発を「国家生存の脅威」と位置づける。今回の選挙を受け、核開発阻止の「時間切れ」がいよいよ迫っていると訴えるのは確実だ。ネタニヤフ首相は5日、米ワシントンでオバマ大統領と会談する予定で、イランの核開発阻止のため「米軍による攻撃」などを求めるとみられている。
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