MDRさんのブログ

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ECBの抜け駆け

日本の株式市場は異常とも言える上昇相場になっています。普通上昇を始めてから一ヶ月もたてば一旦横ばいになったり、出来高がしぼんだりするものですが、先週末に至っては出来高を伴って一気に上昇幅を拡げ、10,000円にも届きそうな勢いで上昇しています。それだけギリシア支援への期待が高まっているということなのだと思いますが、実際のところは支援が行われてもその後の状況改善が約束される訳ではなく、ポルトガル、イタリア、スペインといったギリシアとは比べものにならない大きな爆弾も抱えていますので、上昇した分どこで下落に転じるか、というのは気をつけてみておく必要があるでしょう。
ギリシアへの支援もほぼ決まったというような報道が見られますが、この土日にECBが優先的債務スワップを行ったため、他の債権者がこれに反発する可能性は高く、PSIの交渉は土壇場を迎えてよりハードルが高くなっているように見受けられます。また、仮にCACが適用されて一律強制ヘアカットとなった場合、今回ECBが「ぬけがけ」をしたことで、恐らくはCDSが発動されることになります(ECBが「優先的」に債務交換をしたことで、他の国債が「劣後化」したため)。これは実質的にギリシアが破綻するのと同じことで、CDSの支払いのために大手保険会社(リーマンショックの時のAIGを思い出してください)や銀行が倒産する危険があります。
確かに今の上昇は勢いがあり、買いのポジションを持っていれば大きな利益が出る可能性があります。しかし、各種の情報から考えると今の市場はそれほど安全ではなく、利益を出すよりも損失を出さないための行動をするべき状況にあると考えられます。
今週のギリシア以外の材料では、アメリカで住宅関連の指標が相次ぎます。市場では改善が予想されていますが、万が一ギリシアで大きな動きが発生した場合には住宅指標など市場にとってはほとんど意味を成しません。仮に改善されたとしても、それを元に取れるポジションは買いのポジションということになりますので、今の相場環境では危険な行動です。もし悪化していればそれを機に市場が崩れていく可能性もありますので、この意味においては見ておく価値はあるかもしれません。
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