MDRさんのブログ

最新一覧へ

« 前へ86件目 / 全339件次へ »
ブログ

ファンダメンタルズと市場

先週末のアメリカ雇用統計改善を受けて、本日の日本市場は上昇して始まりました。一日を通して前日終値比+100円前後の上昇幅で、終値で8,900円を超えています。日足のRSIでは70%を越えたところから一時落ち始めたものの、その後再び上昇する動きとなっており、オシレーターを利用した逆張りの戦略で売っていた場合には損失の出る展開となりました。今回のような相場の転換点では上か下に張り付いて動かなくなってしまうのがオシレータの限界であり、特性でもあると言えるでしょう。うまく使えれば相場転換のシグナルとしてみることもできるかも知れません。
しかし、短期で見ますと上昇に転換したように見受けられますが、実際のところは本当の上昇相場には転換していない可能性があります。確かにアメリカの統計はここのところ改善してきていますが、特に先週末の雇用統計を見ていると、本当に回復していると言えるのかどうか不安な内容です。Bloombergが「米雇用者数が1月に24万人増、労働力率は1983年来の最低」というヘッドラインで記事を配信していますが、雇用が改善したことよりも、後半の「労働力率は1983年来の最低」という部分が気になります。以前にも解説したことがありますが、雇用統計には「(なかなか雇ってもらえなかったりホームレスになってしまったりといった理由で)就業をあきらめてしまった人」は統計の母数としてカウントされません(つまりこういう人たちを除いた人たちの就業率が雇用統計です)。
今回の雇用統計を見ると新たに雇用された人数は80万人台半ばですが、「就業をあきらめてしまった人」は120万人弱も増えているのです。これで雇用が改善されていると言えるのでしょうか。
また、ロイター通信から、あれだけ苦労しているギリシアのPSI協議についてギリシアのゼニベロス財務相から「民間部門関与(PSI)は協議の中でも比較的容易な部分だと言える」という発言があったという報道がありました。つなぎ融資を受けるために「12時間に及ぶ厳しい交渉の結果、多くの問題を解決したが、その他の重大な問題は依然として未解決だ」という状況らしく、こちらも暗雲が立ちこめています。
テクニカル的にも下落トレンドは根強いと考えられ、9,100円台に強いレジスタンスラインが見て取れます。売りのトレーディングをする方にとってはここまで上昇すれば安心して売る事ができる、と言えるでしょう。逆に買い方として見ると今の市場は中途半端な状態にあり、いっそギリシアが破綻してすっきりすれば良い買いのチャンスになり得る状況です。
いずれにしても市場はどちらに動くか解りません。どのような動き方をしても良いように、ポジションサイズと損切りポイントを明確にした上でリスク管理を行うようにしましょう。
コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。