「株式投資の目的は?」と聞かれたら、「株で儲けることです」ほとんど変わりません。ところが「その方法は?」と聞かれると、答えは千差万別です。
私の場合、投資の目的は「億万長者になって、株で生活すること」、その方法は「生涯投資をすること」になります。
株で生活するには、売買益と配当金とがありますが、もちろん配当金で生活することです。そのためには、5,000万円以上の株資産を持ち、年間配当が100万円以上あることが最低の目標になります。いい株を相場の流れに乗って、長期に持ち株数を増やしてゆけば、デフレ下であっても達成は可能です。
生涯投資とは、年代ごとに目標を設定し、そこに向かって最も効率のいい投資をすることです。生涯投資における年代別の目標金額としては、次のようになります。
第1期(40歳までに1,000万円を貯める)
第2期(60歳までに5,000万円に増やす)
第3期(配当金で生活を楽しむ)
私の投資法では、投資可能資金(資本金)が1千万円に達した第2期から始まるといえます。1千万円ないと、投資基準を決め、最適なポートフォリオが組めないのです。
それまでの第1期では、月々5万円を200ヶ月貯めてもいいし(あまりお勧めしませんが)、ハイリスクの商品で短期間に大儲けというのもあります。場合によっては金持ちの叔父さんからの遺産、という幸運もあるかもしれません。特に投資法にこだわる必要はありません。
ただ、せっかく株で資産を増やそうとしているわけですから、こんな方法はどうでしょう。まず、100万円貯まったところで、次の相場のテーマになりそうな業種から、中低位で増益が見込める割安な小型株を買って、そのままずっと待ちます。相場が動き出したところで、信用を利用し現物株の2倍まで買い付け、値上がりしたところで全株売却します。待つのが大変ですが、3~5倍くらいになるかもしれません。一相場で1回しか使えませんが、少しづつ貯めるよりは早い気がします。
億万長者への道は1千万円から始まります。人生でもっとも脂の乗り切った時期で、収入もリスク許容度もこの期間が最も高くなります。定年が間近になってからではリスクは取れません。第3期では、値上がりより配当金で豊かな人生を、そして一生株と付き合いましょう。
20年間で5倍の目標ですが、20年間に4~5回ある大きな流れを読み、これに乗らないと無理です。上昇期には信用取引を使ってレバレッジを掛け、配当利回りが低下した株は売却します。売却金も利益もすべて好業績の高利回り株に再投資して、配当金で生活できるポートフォリオを目指します。
問題はこの間にある下げ相場のときです。理論的には持ち株は売却し、キャッシュを増やせばいいのでしょうが、下げ相場が分かるのは相場の終わり近くです。高値で売却など考えないで辛抱し、大底付近で次の相場を睨んで銘柄を入れ替えるようにします。
一相場5年として、上昇期に2倍、下降期にその7割まで落ち込むことを想定しても、20年後には概算5千万円になる計算です。上昇期で極限まで稼ぎ、下降期の落ち込みを極力減らすことです。とはいっても、デフレ下では相場の谷が、前よりも下に来ることも予想され、下降時の落ち込みが想定内に収まるか微妙なところです。
私は、20年間に1回程度は、通常の相場サイクルより大きいバブル相場があると見ています。このときに資産を、4倍5倍と増やせれば目標の達成は可能です。そのためにも、投資資金は個人資産と完全に分離し、設立したファンドは全額株式で運用して、相場の頂点まで付いていけるようにしています。
「待つこと、辛抱すること」というのは、何もしないということではありません。一番神経を使ういやな仕事といえます。生涯投資といっても時間は有限です。その貴重な時間を、投資に使うことでゲームに勝てるのです。
期毎の投資行動については、貯める、増やす、遊ぶという表現にしていますが、投資目標と効率性を考えて、銘柄選定の基準と、ポートフォリオの組み方だけは、期毎に次のようにしています。
銘柄選定基準: (第1期)小型株、安定性より成長性 (第2期)中小型株、成長性と安定性 (第3期)中大型株 安定性
ポートフォリオ: (第1期)1~3銘柄に集中 (第2期)時価評価で全体の3分の2になる3銘 柄をコアとし、残り5~7銘柄はコア予備軍 (第3期)配当利回り重視で銘柄分散
投資法はできるだけ若いときから身に着け、生涯持ち続けたいものです。
「他人の芝生はよく見える」とばかりに、投資対象を絶えず変えるのも、結局時間の損になります。たとえば、金、新興国株式、為替、商品、聞いたたこともないような金融派生商品・・・。人がいいといいだしたときは、その対象物の相場はすでに終わっている場合が多いのですが。
それではなぜ、国内の株式投資にこだわるのでしょうか。国内株投資の利点として、思いつくまま書き記すと・・・。
配当・株式分割などのメリットがある、税制の優遇がある、経済の発展とともに企業価値が増える、増配が期待できる、株を担保に借金ができる、投資主体が広く厚みがある、年金も運用している、景気の指標になる、経済の波を肌で感じることができる、不景気になると国が景気対策を取る、企業情報が正確に早く伝わる、カントリーリスクがない、為替の変動を受けない、など。
せっかく40年間勉強し身につけた投資法を、いまさら、ほかの芝生に移すのが面倒だ、というのが本音なのかもしれません。それでは次回まで・・・。