[ロンドン 15日 ロイターより抜粋] 古代マヤ文明は2012年に世界が終わりを迎えると「予言」し、それに基づいた終末論も、年末年始の読み物として書店には数多く積まれている。世界終末論は別にしても、来年は恐らく、今年と同じぐらい「大荒れの年」にはなりそうだ。
2012年は米国とロシアとフランスで大統領選が行われ、中国ではポスト胡錦濤体制が始動する。欧州はソブリン危機の不透明感が晴れず、民主化の波を受けた中東は政治的動揺が続き、経済の悪化は世界各地でデモなどの混乱を引き起こす可能性がある。足元では、ユーロをめぐる不安が根強く、核開発を続けるイランをイスラエルが軍事攻撃するとの懸念も残ったままだ。
リーマンショックから3年以上が過ぎたが、食品価格の上昇から先進国の景気悪化まで、2011年は経済的問題が政治家たちの話題の中心だった。経済がさらに悪化すれば、国内政治でも国際政治でも、不透明感やこう着感、衝突や対立が深まることは避けられないだろう。
ロンドンを拠点とするコンサルティング会社コントロール・リスクスの世界問題アナリスト、ジョナサン・ウッド氏は「(状況は)好転する前に暗転する。今年起きた出来事を振り返っても、何一つ解決には至っておらず、経済問題の多くは依然膨張している」と述べた。
世界は強いリーダシップを必要としているが、多くのアナリストは、大統領選や指導者交代を控える国では、政治的に行き詰まるリスクが高いと指摘する。米議会の超党派委員会が財政赤字削減策について合意できなかったことは、多くの国でも同様の問題が起こることの前兆かもしれない。
専門家が2012年のリスクの筆頭に挙げるのは、ユーロ圏のソブリン危機。欧州単一通貨ユーロが現在の形を維持するのであれば、ユーロ圏各国は、厳しい経済構造の調整と政治改革に取り組まなくてはならない。今月行われた欧州連合(EU)首脳会議では、財政規律の強化で基本合意したものの、包括的解決策は打ち出せなかった。最悪の場合、2012年は国家の債務不履行(デフォルト)や銀行取り付け騒動などが相次ぐ「無秩序な破綻」を見るかもしれない。
欧州債務問題以外で世界経済のかく乱要因として注意が必要なのは、来年も引き続き中東情勢だろう。民主化運動「アラブの春」の始まりから約1年がたったが、その先駆けとなったチュニジアやエジプトではイスラム政党が躍進、一方でシリアは内戦突入の様相を見せるなど、中東は政治的に不安定な状態が続いている。
また、西側情報機関がイランの核兵器獲得は予想以上に早いと指摘するなか、一部専門家の間では、イスラエルが来年に対イラン軍事攻撃に踏み切るとの見方もある。
政治リスクの調査を手掛けるコンサルティング会社ウィキストラットのチーフストラテジスト、トーマス・バーネット氏は「イスラエルによるイラン核施設への攻撃が大きなワイルドカードだ」と指摘。両国ともに一歩も引かない構えを見せている現在の状況は「恐ろしい」と述べた。
中東の紛争やユーロ圏の崩壊といった事態が避けられたとしても、専門家の間では、経済成長の鈍化と失業率の上昇に伴い、先進国でも発展途上国でも社会不安のリスクが増大し、世界中で政治情勢は難しさを増すと指摘する声は多い。
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大災害が起きなければよいが・・・・・・