10年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)を踏まえた措置。来年3月末まで一般の意見を公募し、米金融安定監督評議会が最終決定した後にすみやかに発効させたい考えだ。具体的にはゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカなど総資産が大きい米商業銀グループの多くが対象になるとみられるが、対象行や規制導入の時期などは未定で、邦銀が直ちに対象になるかどうかは明らかでない。
主要国・地域の金融監督当局は国際業務を手掛ける金融機関を対象にした新資本規制(バーゼル3)に合意している。FRBは今回の追加資本規制を経てバーゼル3へ合流を目指す段取りを描く。今回の資本規制案では、第1段階で普通株を軸とする中核の自己資本の最低基準を5%超と設定。その後19年までに同基準を7%超まで高め、国際標準であるバーゼル3への適応を目指す。
バーゼル3では国際的な影響度合いなどを勘案し、1~2.5%の資本上乗せ規制を導入することになっている。FRBはバーゼル3に基づき追加の資本規制案を提案するとしており、一部の巨大金融機関は最大9.5%の自己資本を求められる可能性がある。保険会社やヘッジファンドなども対象となる。
年次の定例特別検査(ストレステスト)も導入し、財務監視を強める。自己資本に対する特定の企業向け与信の比率が一定以上に高まらないよう、新たな規制を義務付ける。FRBは外国銀行への資本規制のあり方も別途、検討を進めており、内容が固まり次第、公表する見込みだ。
米当局はかねて国際基準を踏まえた新規制体系案をまとめる意向を示しており、金融界や外国政府も比較的冷静に受け止めている。ただ財務、金融監督の両面で米の規制強化が強まることで邦銀を含む北米進出金融グループの経営環境が厳しさを増すのは必至。米金融界では「追加資本を要請するほど、銀行の貸し出し余力を奪う」(バンク・オブ・アメリカのモイニハン最高経営責任者)などの反発も広がっている。