ビッグバン2011さんのブログ

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東京電力の株価急落

 東京電力の株価は、28日の「国有化」報道で、一気に下げて、またいくらか戻した。

 国有化と言えば、かつて、日本長期信用銀行で痛い目にあった。1株ゼロ円で、株を強制買い取りして、国有化された結果、株券が紙切れになった。

 そういう連想が働くのか、株価が急落したが、今回の「国有化」報道のイメージはかなり違う。

 あくまでも東京電力を延命させる前提で、資本注入するというものだ。その結果、むしろ、倒産不安がなくなる。

 東京電力は、現時点では、まだ純資産がある状態だが、近い将来、債務超過になることが確実に見込まれている。

 一方で、原発事故への損害賠償、原子炉の廃炉、電力供給の確保のためには、何らかの形で企業として存続させないといけない。

 今の方向性は、財務的に生命維持装置を付けて、東京電力という企業のままで生き永らえさせることだ。

 財務的な生命維持の方法としては、無制限に融資をしていくか、無制限に資本注入していくかだ。

 ところが、財務超過の企業に無制限に融資をしていくのは限界がある。金利が発生するし、公的資金以外の市場からの資金調達が不可能になって、公的資金だけで支え続けることは困難になる。

 その点、資本注入であるならば、既存株式はどんどん希薄化していくが、とにかく企業財務の健全性は保てる。利益が出なければ、配当もしないだけのことだから、金利も発生しない。

 ところで、東京電力の株は、今後、何十年にわたって無配の可能性がある。しかも、際限なく希薄化していく可能性もある。

しかし、いまだに値段がついて取引されている。

企業として存続し、上場が維持されてさえいれば、需給関係だけでも、値段がつき続けるということなのだろう。

株価が安くなり過ぎると、国家の安全保障に関わる企業の株を、外国に買い占められるのではないかという不安があるが、公的資金で引き受ける優先株に普通株に転換する権利を付けておけば、既存の株を買い占められても、議決権は守れるということなのだろう。

 

128日 毎日新聞>

「東電:実質国有化へ 政府、公的資本1兆円注入」

政府は、東京電力に少なくとも総額1兆円規模の公的資本を注入する方向で調整に入った。福島第1原発の事故対応費用の増加などで、13年3月期に東電が債務超過に陥る可能性が高まっているため。来年6月の定時株主総会で新株を発行する枠である株式授権枠の大幅拡大について承認を得た上で、原子力損害賠償支援機構が東電の新株(優先株)を引き受ける形で来夏の実施を目指す。勝俣恒久会長ら東電の現経営陣の大半を退陣させ、東電の一時、実質国有化に踏み切る構えだ。

野田政権は藤村修官房長官が座長を務める「電力改革及び東京電力に関する閣僚会合」などで東電の経営形態について議論しており、年明けにも公的資本注入の方針を示す考え。東電側は原発の早期再稼働と電気料金の大幅値上げを強く求めているが、政府は「消費税率引き上げの議論もあり、国民の理解を得るのは容易ではない」と判断。電力の安定供給確保の観点から、東電を法的整理には追い込まず、資本注入をてこに経営改革を主導したい考え。

東電は12年3月期で約5763億円の最終赤字を見込み、純資産は7088億円と1年前の2分の1以下に減少する見通し。自己資本比率も6%台に低下し資本増強が喫緊の課題だが、格付けの低下で市場からの資金調達は困難と見られる。

東電は既に、損害賠償の費用として支援機構経由で国から計8900億円の支援を受けているが、使途は賠償費用に限られている。今後膨らむ除染費用や事故炉の廃炉費用の規模が判明していく過程で債務超過に陥るのは確実と見られている。

廃炉を巡っては、内閣府原子力委員会の部会が7日に工程を盛り込んだ報告書を策定。具体額は未確定だが、政府の第三者委員会の試算では1~4号機で1兆1510億円が必要とされ、5~6号機を加えればさらに経費がかさむ。政府が今春に作成した財務試算資料によると資本注入の額は最大で2兆円。政府関係者は「現在の財務状況では最低で1兆円は必要」と話す。

資本注入は、東電が発行する優先株を支援機構が引き受ける形で実施する。東電の発行可能な株式の総数が18億株なのに対し、現在の発行済み株式は約16億株。このため、優先株発行には株主総会で株式授権枠を拡大するための定款変更が必要になる。

発行する優先株には議決権を有する普通株への転換権を付与する方向で、全体の株式数が増える分、既存株主が保有する株式の価値は低下する可能性が高い。

 

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