MDRさんのブログ
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イタリア危機
先々週から、株式市場は欧州問題で揺れ続けています。先週はギリシア危機が回避されたと思いきや、決済期間がイタリア国債のマージン率を引き上げたことで世界市場は大混乱に陥りました。マージン率の引き上げというのがどういうことかというと、国債を担保にして借りられる金額が少なくなるということです。つまり今回、LCHという欧州最大の決済期間が、イタリア国債はざっくりいって額面の90%の価値しかない、と認定したということです。マージン率の引き上げというのはとても大きなことで、これが行われるとあれよあれよという間にその国債の価値が下がっていきます。ギリシア、アイルランド、ポルトガルは第一回の引き下げから半年で50%を超えるマージン率(額面の半額以下の価値しかない)まで下落してしまいました。これはマージン率引き下げを契機に投資家が次々と国債を売り払ってしまうからで、実際今回もこの発表直後にイタリアの国債は大量に売り込まれました。しかしECBが国債を買い支え、何とか利回り6%台まで回復した、というのが先週の顛末です。
今後さらにイタリア国債が売られればECBはそれを買い支えることができなくなり、いずれはギリシアのような結末にたどり着く可能性が高いと考えられます。しかし、ギリシアと違ってイタリアは欧州でも3番目の経済規模を持っており、これを欧州圏内で支えきるのは不可能と考えて良いでしょう。ギリシアですらもEU圏外からお金を集める形になっているのに、イタリアが同じ状況になってしまっては手の打ちようがありません。
イタリアは欧州だけでは支えきれませんが、一方で破綻すれば世界経済が大混乱に陥ります。これを防ぐためにアメリカ、中国、日本が同盟を組んでイタリアを支える可能性はあるでしょう。しかしアメリカは国内で手一杯、中国は救済の代わりに無理難題を押しつける、日本は積極的には動かない、と考えられますので、実質的には危機が佳境に入ってから救済の手が入る可能性が高いと言えます。しばらくはポジションを取るときに気をつけておいた方が良さそうです。
今週の予定で重要なのは今日から明日にかけて行われる予定の金融政策決定会合です。昨日発表のGDPは持ち直したものの、企業の上半期決算はタイの洪水の影響もあってふるわず、株価は低い水準にとどまったままです。また、為替も欧州危機を受けて再び高い水準になってきていますので、日銀がこれらに対してどのような対応を発表するのか見ておく必要があります。また、アメリカでは木曜日に10月の住宅着工件数の発表が予定されています。リセッション入りが疑われているアメリカ市場で、住宅市場がどう動いているかは重要な判断材料になりますので確認しておきましょう。
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