ギリシャのデフォルト・リスクを背景にする欧州市場の低迷に加えて、FOMCが指摘した米国経済の下振れリスクがダウ平均株価の下落要因になっていることは言うまでもないと思います。
参考までに、米国全製造業の在庫循環モメンタムの今後の動きを簡単にシミュレーションすると次のようになっています。
注目の一つは、細い実線が示す出荷の動向。今後急速に減速すると見られます。FOMCの指摘する景気下振れリスクが正しいことを示唆しています。
しかし注目点はもう一つあります。細い点線が示す在庫の動向です。出荷の減速に連動して在庫調整が進展することを示します。
何を意味するのか? 在庫調整の進展で景気減速感が強まります。ところが、その在庫調整が在庫循環モメンタムの低下を阻止します。つまり、景気に対するセンチメントが悪化するにもかかわらず、株価の下落は限定的なものになりそうだということを意味しています。
それでは、米国全製造業在庫循環モメンタムとダウ平均株価の関係は?
昨年8月以降、QE2で大量の流動性がマーケットに注ぎ込まれて、在庫循環モメンタムとダウ平均株価の乖離が鮮明になりました。株価が実体経済以上に買い進まれたのです。
そして、QE2が終了した2011年6月以降マーケットは調整が進みました。
調整はまだ完了していません。したがって、株価の下値リスクは残っています。ただし調整がかなり進んだことは事実です。9月22日にはザラバで一時10,593.85ドルを付けています。注目すべきはQE2が導入される直前の2010年7月末の株価10,465.94ドル。ほぼその水準に達しています。
在庫循環モメンタムは2011年7月の比べて下げていますので、ダウ平均株価にはもう少し下落リスクが残っていますが、その大きさは限定的になってきたと考えています。
したがって、個人的にはダウ平均株価のさらなる下落に気を揉むよりも、本格的な反騰の時期を探ることに注目するつもりです。
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