バブルというのは価値のオーバーシュートですが、バブル崩壊は価値のアンダーシュート。
適正価値を基準に考えれば、いかにバブルとは言え、損失は処理不能なほど、大きくない。
処理不能なほど巨額に見えても、「最終処理」までの期間を長期化させれば、それは処理可能。
継続的なマイナス成長、継続的な景気低迷というのは、よほどバカな政策をやらない限り(マイナスサムゲーム=軍事紛争や軍拡競争の継続やデフレ金融政策の継続などをやらない限り)実現不可能なので、最終処理期間を長期化し、処理を長く薄く平準化させる限り、処理可能なのです。
また、そうすることで、「最終処理」までの成長率を上げられ、処理速度を上げられる。 従来の適正価値を早期に超え、バブリーでない付加価値が付くようになる。 十分かつ適正なリフレ政策(=『財政政策も含む包括的なインタゲ政策』)を取り続けることで、それらは一層容易になる。
前回書いた、不良債権の「迅速処理」で行う不良債権処理は、不良債権の民間損切り、政府移転ということで、実態は不良債権の移し替えです。 「迅速処理」により資金の目詰まりを解消し、経済を正常化させるわけです。 一方、ここで書いている「最終処理」とは、政府移転された不良債権(損失)の解消ということです。
米国も現状、不良債権の最終処理に至っていない。 そこにたどり着くには株式市場の回復のほか、住宅市場の回復が必要です。
ゆえに、米国では住宅市場をターゲットにしたリフレ政策”も”不可欠ですが、需要の先食いがあったので、財政的措置がなければこれは困難。 しかし、『安易な財政措置は、フリーランチ批判が出るし、勤労意欲の低下(潜在成長率低下)や、次なるバブルを生みやすくなる』ので、なかなか出来ない。 バブル崩壊からの回復に一定の時間がかかるのはしようがないことです。
欧州の場合、(直接的な)フリーランチを行ったのが、自国民でなく、PIIGSという国家、しかもドイツにして見れば外国。 不良債権の「迅速処理」、「最終処理」が遅れるのもやむなしかも、です。 ユーロシステムによる通貨安の旨味をドイツも得ていること、ドイツもバブルの共犯者なことをドイツ国民、ドイツマスゴミが十分理解すれば、ドイツのPIIGS支援も進むでしょうが、現状はそうでない。
今般ギリシャのように、PIIGSに緊縮財政をギリギリと強いてから支援を決めることになる。 その度に市場は揺れる。
結果的に日米中の資金拠出が膨らむはめになるやも知れません。 しかし、それは事後の欧州投資抑制となるでしょう。 『経済にフリーランチはない』のです(正しい方向で、汗と冷や汗(リスクテイク)をかかねばランチにありつけない)。
米欧ともリフレ政策はほぼ十分なのですが、欠陥の多いユーロシステムが、欧州不良債権処理を必要以上に遅らすことになるでしょう。 世界経済の回復は緩慢にならざるを得ない。