チューリヒ(ダウ・ジョーンズ)スイスの製薬大手ノバルティス(NYSE:NVS)が19日発表する予定の4-6月期決算は26%増益と予想され、特許失効による圧力や世界での財政緊縮策が重しとなっている製薬業界全般を上回る堅調な結果が見込まれる。
ノバルティスは、為替の影響や、薬価の低下、特許失効で同業他社と同様の圧力にさらされるとみられるが、最近の買収や店頭薬や後発薬を含む幅広い製品構成によって業界全体を凌ぐとみられている。
4-6月期の純利益は26%増の30億4,000万ドルとなる見通し。最近完了したアルコンの買収が寄与し、売上高は24%増の144億9,000万ドルと見込む。スイスフラン高が売り上げを押し上げるが、ドルベースで業績を報告する純利益は落ち込む見込み。同社はスイスをベースとする多くの科学者を擁す。
アナリストは抗がん剤「フェマーラ」や高血圧症治療薬「ディオバン」などの主力製品の特許切れによる影響が、今年後半に拡大するとみている。ノバルティスの見通しの中心となるのは、多発性硬化症(MS)治療薬「ジレニア」や眼科薬「ルセンティス」や糖尿病治療薬「ガルバス」など最近発売された治療薬の進捗度合いにかかっている。アナリストはノバルティスの新薬候補(パイプライン)は業界でも最も広範囲と評価している。
ノバルティスの堅調な業績は、競合他社とは好対照をなす公算が大きい。競合は特許失効、世界の財政緊縮、為替変動で打撃を受けるとみられる。
ただ最近の経営再建やパイプライン強化の取り組みが業界全体を押し上げる可能性もある。
バーンスタインのアナリスト、ジャック・スキャネル氏は「パイプラインが徐々に改善される兆しがあり、これは今後注視していく重要な傾向だ」と述べた。
スイスフランで決算を報告するスイスの製薬大手ロシュ・ホールディング(RHHBY, ROG.VX) は、ユーロで報告する仏製薬大手サノフィ (NYSE:SNY)と同様に為替変動による悪影響を受けるとみられる。
サノフィは、主力製品の複数の特許が最近失効するなか、後発薬メーカーとの競争激化で下押し圧力を受ける公算が大きい。その将来は米製薬大手のイーライ・リリー(NYSE:LLY)と同様に後発版との競争をはねつけるほどの強いパイプラインをどれほど迅速に構築できるかにかかっている。英製薬大手のアストラゼネカ(NYSE:AZN)の製品群についても同じ懸念が残る。
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DJ-ノバルティス、4-6月期決算見通しは26%増益
2011-07-19 11:36