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【コラム】ECB、3カ月ぶりに利上げか
AHEAD OF THE TAPE





 これは痛いかもしれない。




AP

トリシェECB総裁


 インフレを抑制するため、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は7日、3カ月ぶりに利上げを行うとみられている。政策金利は1.25%から1.5%に引き上げられる見通しだ。

 しかし欧州の経済情勢は4月の利上げ時とは全く変わってしまった。当時、ユーロ圏は域内総生産(GDP)が年率3.4%という高い伸びを示した1~3月を終えたばかりだった。

 だが、今は景気が冷え込んでいる。ING銀行によると、4~6月の成長率は1.5%だったとみられている。同銀のエコノミストのカルステン・ブルゼスキ氏は下半期の成長率は1%程度と予想している。

 5日発表された6月のユーロ圏購買担当者景況指数(PMI)は20カ月ぶりの低水準だった。一方、5月の小売売上高は前年同月比1.9%減少した。これは18カ月ぶりの大幅な減少だった。だが特に懸念されるのは、欧州経済のけん引役のドイツで4.4%も減ったことだ。

 




 


 これはギリシャを除く欧州のアキレス腱を露呈している。輸出主導の成長が消費に結びついておらず、欧州は不安定さを増しているグローバル経済への依存度を高めている。消費の低迷は、特にギリシャやポルトガルという欧州のぜい弱な周辺国に影響が大きい。両国の輸出品は工場向けより消費者向けが多いからだ。

 疲れがみえているとはいえドイツは着実に輸出を続けている。しかしBNPパリバの予想によると、6日と7日に発表予定の同国の5月の製造業受注指数や鉱工業生産は4月よりも低下したことを示すと予想されている。

 トリシェ総裁は消費者物価指数(CPI)が、ECBがターゲットとする2%を大幅に上回っていることから、年内に一段の利上げを実施する可能性が高い。

 だが欧州は、ギリシャ問題から抜け出せずにおり、7日のトリシェ総裁の記者会見でも主要なテーマになると予想されている。ECBはインフレとの戦いにおいてあまり戦闘的になることはできない。

 景気が鈍化するなか、ドイツやオランダでは、ギリシャなどへの救済に対する国民の反発も強まっている。

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