アルゴリズム取引についての弊害が、日本経済新聞の裏記事に載るようになりました。ヘッジファンドが持ち込んで、今やほとんどの機関投資家が使うようになったアルゴリズム取引。結果として市場が薄くなり、マーケットが機能しなくなったというのです。
ごく少数の、それでいて市場取引の過半数を占めるまでに成長したヘッジファンドが、自分たちの利益のために市場を動かすようになると、公平な価格形成ができなくなります。この世界では、誰かが勝てば誰かが負けるのです。ヘッジファンドの「利益」は、それ以外の人の「損失」から生まれるのです。
これに気がついた一般の投資家はこの市場を見限り、市場価格はますますゆがめられています。いまや先物市場で売り物に値がついても、現物ではそれに見合った売り物が出ないといいます。それでも資金に物を言わせて現物を売ろうとするものですから、PBRが1倍になろうと、経済が上向こうと市場はまったく反応を示さなくなってしまいました。
市場が砂漠化してしまったのです。資本主義の根幹をなすマーケットが機能しなくなってしまったのです。
これを助けたのが、東証と大商に相次いで導入された超高速の売買システムです。瞬時にしかも超高速で反応する売買に、一般の投資家はかなうわけがありません。ヘッジファンドも当初は、「鴨」からの利益を享受していましたが、ほかの機関投資家がこれを採用するようになるともういけません。速度を上げて対応するにも限界に達したのです。最近ではさすがのヘッジファンドも利益が出ていない状態になっていると見ています。
マーケットが機能しなくなるとどうなるのでしょうか。取引量が減り、証券会社の存在価値がなくなります。アナリストとか経済学者も仕事はなくなり、優秀な人はやりたがりません。一般の人は、株式市場での勝つ確率は低くなり、宝くじでも買うつもりでやらないと期待をはずされてしまいます。
このことは、サバンナに住むライオンとガゼルの関係に似ています。ライオンはガゼルが多ければ楽に生活できますが、ライオンが多くなりガゼルが少なくなってくると、今度はライオン同士で食い合いになります。
自然界ではこれでバランスが取れるのですが、頭のいい人が多くいるヘッジファンドはどういう手を打つでしょうか。
おそらく3ヶ月も続いた持合を大きく持ち上げて、とりあえず素人衆を賭場に呼び込もうとすると見ています。今日、予想ではシカゴの清算値あたりで寄り付くでしょうが、その後の動きに注目です。予想に反して上のほうに大きく持ってゆくのではないでしょうか・・・。そうしないと彼らの儲けになりません。
美味しいうどんさん、montontonさん、先日の日記にコメントありがとうございました。当分日記の掲載を辞めるつもりでいましたが、また、駄文を載せました。市場を愛するものとして最近の砂漠化は見逃せません。