faichiさんのブログ

最新一覧へ

« 前へ152件目 / 全232件次へ »
ブログ

東北大学、2型糖尿病に高頻度に認められるゲノム構造異常を発見

◎東北大学、2型糖尿病に高頻度に認められるゲノム構造異常を発見
発表日:2011年6月23日
~新たな診断法・治療薬開発に期待~

 東北大学大学院医学系研究科代謝疾患医学コアセンター・片桐秀樹教授、分子代謝病態学分野・岡芳知教授らのグループは、DNAチップ研究所・江見充博士との共同研究により、2型糖尿病に高頻度に認められるゲノム構造異常を発見した。この研究成果は、国際専門誌Experimental Diabetes Researchに掲載された。
 糖尿病患者数は、わが国で800万人以上、予備軍を含めると2000万人にも及ぶと推察されている国民病である。その大多数を占める2型糖尿病は生活習慣要素に加え、家族内での発症が多いことから遺伝因子も大きく関わることが知られている。しかし、これまでの数多くの研究では、発症リスクが最大でも1.4倍程度と非常に低い一塩基遺伝子多型しか発見されず、「糖尿病体質」を説明する決め手に欠けていた。今回、本研究チームは、35歳未満発症の日本人2型糖尿病患者100例と日本人健常対照者 100例に対して、全ゲノムコピー数多型(*1)解析を行ったところ、2型糖尿病群の100例中13例と極めて高頻度に認められるゲノム構造異常(第4番染色体4p16.3領域におけるコピー数の減少)を発見した。このゲノム構造異常をもつことでの糖尿病発症リスクは14倍以上であり、これまで知られている糖尿病関連遺伝子に比べ、桁違いに寄与度も頻度も高い。
 本発見は、遺伝的素因が強く存在するといわれながら決め手が無かった2型糖尿病の遺伝的原因の解明に大きく貢献するのみならず、病態に基づいた治療法の選択や新たな治療法開発につながる可能性もあり、2型糖尿病患者にとって大きな福音となるものと期待される。さらに、2型糖尿病にこれほど選択性が高く高頻度に認められるDNAマーカーは他に類を見ず、本ゲノム構造異常を検査化することで、2型糖尿病患者やその血縁者も含めた発症・病態・予後の予測マーカーともなり、本検査法に関して特許出願がなされている。2型糖尿病は、遺伝的ハイリスク者であっても、発症前からの生活習慣への介入により発症を防ぐことも可能であり、糖尿病患者数減少にもつなげることができるものと期待される。
用語説明:
*1 ゲノムコピー数多型(CNV):ヒトゲノム研究で最近注目されている大きな構造変化を伴う新たな種類の遺伝子多型。遺伝子などの配列の重複や欠失を伴う500塩基対以上の大きなゲノム領域の構造変化で、現在までにヒトゲノム上に約1万6千箇所の存在が確認されている。
コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。