株をやっている人には、2種類のタイプがありそうです。短期と長期と・・・。
皆さんの日記を拝見していて、圧倒的に多いのが短期タイプのようです。この範疇の投資家の特徴は、
全財産を株式に投じていない
相場観を持たない
という共通点があります。
全財産を株に投じていないので、カジノでゲームを興じるような感覚で、株に挑戦しています。よく勉強をしているのですが、それはゲームに勝つためのもので、チャート分析が中心です。
儲けになると思えば、外国為替でも、商品でも、先物でも、何でもやっていそうです。結果的にリスク分散になりますから、株で負けてもそれほど痛手にはなりません。そのため、信用取引の売りも買いも、レバレッジを利かせてやります。小さい儲けには敏感ですが、カラ売りなどは平気でやります。
いつかは大いに儲ける夢は捨てていませんが、投じる金額が少ないので、結果的には株を楽しんでいる程度にしか見えません。
株の本質はギャンブルです。証券会社などでは、さすがにギャンブルという言葉は使わないで、リスクという言葉に置き換えています。しかし、結果が分からないものへ資金を投じるという行為はギャンブルであり、勝った人は負けた人の損失で利益を出し、テラ銭を取る人だけが最後に儲かるという構図は、まさにギャンブルそのものです。
資本主義の下では、国が後押しをして、その取引を仲介する巨大な胴元まで作っているのです。いまや金融資本はこのメカニズムで成り立ち、それが経済の血となってわれわれに還元しています。
もっとも、事業で成功している人も、それなりの危険を冒して、初めて成功を勝ち取っているのです。リスクを取りたくない人は、サラリーマンで平穏に一生を送ればいいのです。少ない利息で我慢して、銀行預金にお金を預ければいいのです。ギャンブルが成功の原点になっているのは、経済の世界ではごく当たり前のことなのです。
とするならば、株はギャンブルだから、やめたほうがよいなどというつもりはありません。ただ、楽しんでいるだけの株式投資にとどまっている限り、1年後には80%もの方が株の世界から遠ざかることになります。
「どうしてそんなこと分かるの?」
私は以前、「みんかぶ」が今日ほど有名になる前の時代に、ある掲示板の常連でした。元気で書き込みをやっている人でも、3年続いた人はごくまれで、たいていの人は1年くらいで書き込みをやめてしまいます。株で損をした人ばかりではないと思いますが、株に興味をなくしてしまうのです。
もう一つ、これもその時代に、デイトレーダー協会会長と称する人がテレビに出演して、デイトレーダーの現状について話をしていました。その中で、デイトレーダーとして生計を立てて行ける人は、1年間で1%以下になってしまうそうです。つまり、100人に1人だけが生き残り、後の99人は脱落して行くとの話です。
1日のうちにすべての取引を完了し、翌日に持ち越さないという投資手法は、確かにリスクを最小化して資金効率を最大にするという点で一世を風靡しました。ただ、デイトレーディングは、時間を味方につけないという点では、もっとも投機的な株式投資手法といえそうです。
それではなぜ、デイトレーディングが廃れてしまったのでしょうか。それは、機関投資家との競争に負けたからです。とくに2000年代に入って台頭したヘッジファンドは、巨大なコンピューターを武器として、金融工学という一般の人には高嶺の花のような学問を作り上げ、莫大な資金と情報で株式市場を席巻してしまったのです。
心理学はおろか物理学、化学、医学、すべての学問分野の人を抱え込んだうえ、金で情報を操作するまでになった機関投資家に、個人がかなうわけがありません。いまや、銀行も、年金基金も、保険会社も、資金運用の手段として、ヘッジファンドを利用している有様なのです。
株がギャンブルである以上、ヘッジファンドが勝てば、個人投資家は負けなのです。これが、1年で80%もの方が株の世界から遠ざかる理由になっています。
もう一つの特徴である相場観についてはどうでしょうか。相場観を持たないということは、ある意味では相場がどっちに行こうと、利益を出すことができるということになります。上がると思えば買い下がると思えば売る、これで利益が出ます。下手に相場観など、ないほうがいいとまで言い切る人がいます。
確かに短期的に見ればそうなのかもしれません。ただ、短期の株取引では、カジノでギャンブルをするのと同じで、ツキに恵まれて大儲けをしたとしても、長く続けると必ずスッテンテンになります。ギャンブルはいつ下りるか、つまり時間を短くすることが儲けの秘訣です。勝負に強い人はみな上手に下りています。大きく儲けたときに、投機的な株式方法を長期投資に代えることです。
その際に、もっとも重要とされるのは長期の相場観です。ただ単に投資を長く続ければ儲かるのならば、皆やって皆百万長者になっています。長期投資であっても、いい株を相場の流れに乗ってタイミングよく買わないと時間に負けてしまいます。いくらタイミングよく安値で買っても、相場の流れが下を向いていれば高値掴みになってしまいますし、逆に高値で買っても相場が上を向いていれば儲けになります。
このように、長期投資には日ごろから相場観を養い、自分なりの相場観をもっていなければなりません。
株価はいろいろな要因で動きますが、なかでも経済の動きはもっとも影響を与えます。経済を動かすのは政治ですから、政治にもっと関心を示さなくてはなりません。今までの自民党政権では、政治は3流でも経済は1流ということで、政治の動きは株価にはあまり影響を与えないと思われていました。でも実は大きな影響があったのです。
民主党政権になってから、日本の株価が欧米の株価に大きく水をあけられているのを見れば、経済を動かすのはやはり政治です。政治が企業に背を向け始めたころから、企業はますます海外に逃げてゆきました。結果日本の雇用は縮小の一途。雇用が増えなければ、誰も株を買いません。この分だと、株を買うのは日銀だけということになりかねません。
それでは、長期投資を前提とした投資法とはどんなものなのでしょうか。この続きは次回に・・・。