レベル7の事故評価で原発の安全神話は完全に崩れた。アメリカでは外部電源がすべて使えなくなった場合の対策がとられていることから今回の事態は想定外とは言えない。私は当初想定すべき事態を想定してこなかった東電と政府に責任があると考えてきた。だが今は少し違う。これは並外れて少ない危険に対してどのように保険をかけるかの問題だと思う。保険を掛けるにはコストが掛かる。保険は万一のときのためのリスクヘッジだから被害が起きなければ丸損ともいえる。福島県も原発の誘致に積極的だった過去があり、地元もそれなりの恩恵を受けてきた。同じ福島県でも原発の恩恵を受ける直近地域と離れた場所では温度差がある。危険は予測されていた。政府(自民党)はそれに対して対応策という保険を掛けてこなかったし、東電は国の指針に従ったまでだという論法だ。そしてそんな政府を信任してきたのが国民なのだから、結局は国民につけがまわってくるわけだ。消費税を上げる話になると孫・子の世代のことよりは自民でも民主でも自分の懐が痛まない政党になだれを打って投票する国民が結局保険なしの安全神話を受け入れてきたのだと思う。では今後原発はすべて反対か。ドイツとフランスは極端な対比を見せている。原発なしで地球温暖化は乗り切れるのだろうか。私は温暖化の問題の方が福島原発レベルの事故よりは長期的には深刻だと思う。中国では今は石炭火力発電が主流だけれど、今後原発を増やすという。黄沙でも酸性雨でも直接影響を受ける風下の日本はこれに直接対処することはできない。電力不足が続けば日本の経済自体が衰弱するし、地熱・風力・波力などのエネルギーは主流としてあてにできるレベルには程遠い。マグニチュウード10の地震と40メートルの津波にも耐える保険を掛けて原発を続けるよりないのではないかと思う。
長期的(3年後目標)には東電は買い。日本風力開発(2766)も¥40000の安値から原発問題で¥90000 と大きく上げてきたが、この株は長期的に保持しても良い株と考えて少し仕込んでいる。