明日からJ-GATEが始まるのでこの日記はその記念になるかもしれない。
まず添付した図を見てほしい。
100万円の資金がおよそ4年で50倍になっているのが分かる。
これは別にベストの条件の結果を示したのではなく、実用できそうでかつすっきりした条件でのシミュレーション結果である。
ここにこの開発に関係したメモを書いておきたい。人に読んでもらおうというよりは自分の記憶の整理のためにまとめておこうと思った次第だが、興味を持ってもらえたらそれはそれで嬉しい。
まず、このシステムの概要を下記にまとめた。
1. 初期資金は100万円とした。実際のトレードに回す1回あたりの資金は手持ち資金の20%。
利益・損失は手持ち資金に加えていく。いわば複利運用する。
2. 投資対象は日経平均先物mini
これは2006年7月18日から始まっているのでそれ以降2010年の末日までを対象とした。
現在、miniの一枚あたりの証拠金は27000円、手数料は安く往復で105円くらいである。
3. アルゴリズム
a. 高値安値の回帰直線の翌日予想値±αを上回れば買い、下回れば売り。
b. サインが出なければ建て玉を継続。
c. 売買は常にドテン。注文が成約した日はそれでお終い。
回帰分析によるシミュレーションはこれまでも何回も手がけてきていたがなかなかよいものはできなかった。過去の統計は将来の予測に役立つという期待があったが、イベントが起きると相場はがらりと変わるので前の統計とはかけ離れてしまう印象が強い。一般に提供されている回帰分析チャートは終値だけを使い比較的長期で2σや3σなどめったに起きないといわれる価格で逆張りで使う発想のものが多い。ただイベントで大きく流れが変わると2σくらいの偏りは簡単に起きてしまう。この点からはむしろ順張りに使うほうが良さそうに思えた。ボリンジャーバンドも過去のデータの標準偏差を使っているが、何故か中心値は移動平均線である。計算期間を変えても大きな変化のときはだいたい2σの線に沿って上昇下降する。明確な売り買いのサインも出しにくい。移動平均線自体が後追いの面が強いので、先取りの面が強い回帰直線からの大きな乖離を相場の変換と捉えて、順張りのシステムを考えてみようと思った。回帰直線の計算は移動平均やボリンジャーバンドに比べると多少面倒だが、難しいというほどのものではない。
個別銘柄によるシミュレーションの結論はまったく予想外だった。期待は2σや3σでの順張りサインによる安定投資だったが、これでは成績はあまりよくなく安定もしていない。多くの銘柄でベストの条件になったのは短期間の回帰直線の翌日予測値近くを順張りサインとするかなり短期のスィングトレードシステムだった。東芝や東京電力などの大型株でも手数料や金利を差し引いてもそこそこの利益が期待できる条件が出てきた。これは私にとってはかなり画期的なことである。また1回のトレードの勝率も順張りなのにほぼ50%とかなりよいことも特筆すべきことである。イメージを自転車に例えるとGCなどは曲がりきってからサインが出るのに対し、ハンドルを切って前輪が方向を変えた段階でサインが出るような感じである。
大型株で適用できるなら日経平均でも適用できるかもしれないと日経225先物mini用に修正したプログラムを作った。先物は金利が掛からず手数料が安く、期待値がプラスのシステムならレバレッジの効果が大きい。結果の一例が添付のグラフである。これは使えるだろうか?
かなり使えるとは確信できるが注意すべきところも多い。年単位の趨勢で見ればドローダウンはあまり目につかないが約50%のドローダウンがある。資金の20%しかトレードに回さないこの条件でもかなり大きな数値といえるが、上昇幅と比べれば大した割合ではない。利益のすべてを次のトレードに回していたら、トロード開始2年後の2008年には100万円が3億円になっていたが、リーマンショックの前に破綻していた。逆に10%ならかなりリスクは少なくなるが利益も少ない。
先物やFXのようにレバレッジの効いたデリバティブ商品を累積で運用すればこのような成績を残すプログラムも珍しくはないだろうと思う。大事なことはリスク低減のための資金管理とかドローダウン率や期間の低減だが、これもあらかじめ予測できるものではないし、資金効率を落とすことによるドローダウンの改善は期待値とのトレードオフである。添付のグラフでは約50%のドローダウンと2009年には約半年に及ぶ下落期間がある。運が悪ければこのような期間しか体験できないこともありうるわけだ。でも4年で100万円が5000万円になることが期待できるなら、多分誰でもやってみたくなるでしょうね。そのうち公開実験をやってみたいと思う。