1/11雑感(次の目標価格)

MDRさん
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今週は先週三角持ち合いを上に抜けた株価がどこまで上昇するかが焦点となりそうです。
昨年末まで市場で形成されていた三角持ち合いは予想通り上に抜け、11月から上昇していた株式市場は価格ではなく時間で過熱感を解消した形になっています。おそらく11,000円前後までは上昇すると思いますが、この価格帯は出来高の層が厚いため、このレンジで再度調整となる可能性が高いと考えられます。逆にここを抜けられれば一気に12,000を目指す展開も見えてくるでしょう。
ただし、ツイッターでも何度か書いています通り、現在の相場環境は上級者向けの投資環境となっています。すでに底値からかなり株価が上昇した状態であることに変わりはなく、11,000円を待たずにちょっとしたきっかけで再度調整が起きる可能性も高い状況です。上記のシナリオに沿って投資をする場合には、この想定から外れた場合に素早く手仕舞いの戦略を切り替えられる柔軟な投資姿勢と高度なセルフコントロールが求められます。
実際、私たちが運用している勝率の高いタイプのシステムは、順張りのものも逆張りのものもすでに手仕舞った後です。つまり今の環境で利益を出すためには勝率が低くても利益を出せる技術が必要であると言えるでしょう。
さて、今後のシナリオを想定して動くために重要となるのが先週金曜日にアメリカで発表された雇用統計です。各種ニュースでは「大幅改善」と報道されていますので、ご覧になった方も多いかと思います。実際には9.8%が9.4%に改善したという状況で、先週の予測時点でも書いたとおり確かに回復はしましたが依然として1割近い前代未聞の失業率であることには違いありません。さらに、あまりクローズアップされる数字ではありませんが、労働参加率が悪化(つまり職探しをあきらめた人が増加)していますので、実質的には報道されるほどの改善率ではなさそうです。
また、事前予想の9.7%を上回る回復、と強調されているケースもありますが、為替市場の動き方を見ていると、本当の事前予想値はもっと良かったのではないかと考えられます。というのも、報道に使われた事前予測値は先週中頃にADPが発表した就業率を加味していないからです。しかし、実際の市場ではADP発表を受けてより大幅な回復を予測していたと考えられます。このため、ADP発表を元にしたアメリカ経済の持ち直し期待から大幅に安くなっていた円が、週末の雇用統計発表後に半分程度値を戻しています。
こういった点から考えると、アメリカ市場の大幅上昇を受けた日本株の急上昇というシナリオは考え辛いため、上昇するにしても徐々に値を切り上げていく展開と予測できます。値動きの小さな相場環境では小さな材料に反応しやすくなりますので、各種指標には気を配っておく必要があるでしょう。
国内の重要指標は木曜日の11月機械受注統計があります。昨年1月の機械受注統計は上昇の予想を裏切った大幅な下落となり、株価に大きな影響を与えました。今回の発表も慎重に見極める必要がありそうです。
また、海外でも同じ木曜日に欧州でECBの政策金利発表、アメリカで生産者物価指数の発表があります。欧州の政策金利は1.0%で据え置き、アメリカの生産者物価指数は前月比+0.8%の上昇が見込まれています。また、翌金曜日には引き続きアメリカで消費者物価指数、12月の小売売上高が発表されます。予測値は消費者物価指数が前月比+0.4%、小売売上高は前月比0.8%の増加となっています。予測値との乖離がないかどうか注目しておいてください。
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