プレハブ向けの鋼材需要が堅調。下方修正後の営業利益を上回ると予想
<11/3期の営業利益見通しを減額。株価は戻り歩調>
11/3期2Q累計(4-9月)の営業利益は148億円と期初計画を8億円超過したが、同社は、11/3期の営業利益見通しを減額(期初の240億円 →220億円)。円高による採算悪化やエコカー補助金終了による自動車向け鋼材需要の減少を懸念していることが主因。しかし、自動車向け鋼材需要は比較的堅調で、プレハブ住宅向けの鋼材需要が好調に推移。ニッケル価格の高騰で在庫評価益も拡大する見通し。下期のひも付き価格交渉が不透明要因ながら、 11/3期の営業利益は同社計画を上回るとTIWでは予想。ピーク利益からの回復度は他の高炉メーカーに比べて見劣りするものの、12/3期の年5円配当復帰を最優先課題として取り組んでおり、増配が期待できる。足元の株価上昇で、株価指標面での極端な割安感は薄れてきたが、株価は市場平均並みの動きを予想する。
<多彩な商品群を活かして海外事業を拡大>
他の高炉メーカーと比較すると同社の海外事業展開は出遅れているものの、ステンレスやZAMなど多彩な商品群を有する強みを活かして、海外事業の拡大に取り組む方針。ステンレス事業では、世界有数のステンレスメーカーのアセリノックスグループと共同でアジア地域において製造・販売会社を設立し、ネットワークを構築中。中国大手の鉄鋼メーカー寧波宝新との提携も強化している。今後は、ZAMの海外事業拡大が課題となるだろう。
(佐藤 謙三)