※この内容はMarket Data Research Websiteに掲載されたものと同じです。
先週は大きな材料がたくさん出続け、市場に大きな方向性が見え始めました。その前に続いていた方向感に欠ける展開は、まさに嵐の前の静けさだったと言えるでしょう。先週一週間の間に出た大きな材料をまとめると、
FOMCでの追加緩和(6,000億ドル、およそ50兆円の市場資産買い取りを発表):好材料
中間選挙でオバマ率いる民主党大敗:悪材料
金融政策決定会合で、あらかじめ発表されていた市場資産買い取りの開始時期を決定:どっちつかず
アメリカ雇用統計の予想以上の改善:好材料
といったところで、先週の日米の株式市場はこれを受けて大幅に上昇して終えました。
一方、今年に入ってからアメリカでの銀行破綻件数が143件となって昨年の通算件数を超え、ユーロ圏でもアイルランドの雲行きが怪しくなってきています。実際問題として日本の株式市場もおかしな動き方をしていて、日経平均構成銘柄の大型株は上昇しているのですが、小型株や新興市場は先週末のお祭り相場でもほとんど上昇していません。実体経済に近い動き方をしているのは全株価の平均だと考えられますので、大型企業だけ上昇しているというおかしな相場になっています。
過去を振り返ってみるとあまり例のない相場で、今後どのように動いていくか要注目ですね。システムトレーダーとしてはおそらく利益の出しにくい(買いにくい)相場になると思いますが、これはシステムを強化するチャンスでもあるかもしれません。カーブフィッティングにならないレベルで、今回のような相場のリスクヘッジをできる仕組みを探すことは、今後の相場に向けて決して無駄なことではないと思います。
さて、先週は大きなイベントをいくつも乗り越えて、今週は特別に大きな発表がありませんが、気を抜かずに情報はチェックしておきましょう。見ておくべきは10日のアメリカ新規失業保険申請件数でしょう。アメリカの雇用状況は引き続き注意が必要です。国内では11日に日本で発表される機械受注統計に要注目です。また今週はAPECがあり、10日、11日と閣僚会議、その後13日、14日と首脳会議の予定です。為替関連の話題が出るかもしれません。G7やG20ほどの影響はないとは思いますが、議題や声明は確認しておきましょう。
日本の株式市場は、日経平均が9,800円を超えてくるかが注目のポイントになります。7月以降、日経平均は何度か上昇の気配を見せたことがありましたが、ことごとく9,800円を越えられず、8月下旬から9月にかけて9,000円を割ったのを除けば、9,000円~9,800円の間を行ったり来たりするボックス相場でした。ここで9,800円を超えることができれば日経平均も本格的に上昇に転じる可能性があります。いずれにしてもすでに株は上昇し始めているため直近で買いタイミングはやってこないとは思いますが(上昇している以上、下落のリスクが高くなっていると考えられます)、上昇トレンドには上昇トレンドなりの運用のしかたがありますので今後の方向性を考える上でも確認しておく価値があります。